一般社団法人日本推理作家協会

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よねた じゅんいち

米田 淳一

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 デビューしてから間もなく丸三年が経ち、年齢的にも、『若輩者を言い訳にして、世間様の寛容さに甘えさせて頂いてばかりは、いられないな』と、昨今やや焦り気味でいる若輩小説描きの米田淳一と申します。

 幼い頃から、鉄道公安官だった伯父や自衛官の父に影響されてか、『関係者以外立入禁止』の施設に興味を持ち始めて以来、飽きもせず現在も『エアロ鐵』と自称しているほど、乗り物・メカ・建築、科学技術関係といった、いわゆる男が惹かれる対象物全般に手当たりしだい首を突っ込んでは、趣味と実益を兼ね小説の題材に出来ないかともくろむ、剛胆な不届き者――。と堅い反面、シャーペンの芯の蓋に描かれた『太鼓を叩くウサギ』とかソースの容器のニワトリのような、可愛いめのキャラクターや、ネコ・座敷犬などの小動物にメタメタ弱いという、男でありながら軟弱でイロモノなヤツ――。それが私、と自分では思っております。

 そんな日暮しのなかでも、もしかしたら自分は『この世界』という巨大なシミュレーター上の一つの記号にすぎず、他人にはまた各々別の世界があり、自分の認識する他者とは、互いの世界同士が偶然重なり合っただけで、自分そのものは完全な孤独に落ち込んだアリのようなものなのか、と淋しく思ったりすることもあります。
 作品では、そうした量子力学での多世界解釈を援用しながら、自分中心の世界しか見られない人間の意識が必然的に抱える大きな欠陥を認識しつつも、他者と分かり合おうとしたり、他者のために心を尽くし、結果裏切られたとしても、なおその欠陥を超えたいとポジティブに生きようとする力強い真摯な人間の姿を、現実に今議論されている最先端科学を積極的に取り入れ、そのスタンスで生じる限界を逆に補助線として昇華した夢のある未来科学世界を舞台として、鮮やかに描きたいのです。しかし、そう考えていても描く筆力がついてこないのが、我ながら歯がゆいところです。

 というわけで、未だ二冊の著書しかありません。稚拙ながら毎日更新する自分のホームページに雑談を書くなかで、つい吐いてしまった弱音でご心配をおかけしたり、大袈裟なことを言ってしまったなあと反省しながら、頂いた励ましやご助言などの恩義に報いるためにも、総合娯楽路線で現代・近未来・未来を横断する空想科学ミステリ小説を描くべく、ガンバラナクテワとの志を日々新たにしております。

 ふつつかや不見識で、危なっかしくご覧になることがあるかも知れません。そんな時はメールなどででも厳しく叱って頂ければ幸甚です。お言葉を糧として、少しでも前進する所存でおりますので、よろしくお願い致します。

 1973年秋田県生まれ・現在神奈川県在住
 ’97年11月『プリンセス・プラスティック』講談社ノベルズ
 ’00年3月『リサイクルビン』講談社ノベルズ・既刊

 http://www4.justnet.ne.jp/~jyl/index.htm
(プリンセス・プラスティック/裏日刊文藝事情)