ごあいさつ・小栗虫太郎展

 小栗虫太郎展を開催します。
 小栗虫太郎は一九〇一(明治三十四)年、東京神田の酒問屋の家に生まれました。本名・栄次郎。京華中学校卒業後、樋口電機商会に入社。その後、四海堂印刷所のかたわら創作をはじめます。一九三三(昭和八)年、甲賀三郎の推薦により、『完全犯罪』を『新青年』七月号に掲載。探偵小説家としてのデビューを果たします。一九三四(昭和九)年、大作『黒死館殺人事件』を『新青年』に連載。江戸川乱歩をして「世界の探偵文学史上に、あらゆる流派を超越した一つの地位を要求出来るであろう」とまで絶賛されます。現在でも夢野久作『ドグラ・マグラ』、中井英夫『虚無への供物』とともに三大奇書として畏怖される存在です。
 ほかにも『白蟻』『オフェリヤ殺し』『紅殻駱駝の秘密』『魔童子』『二十世紀鉄仮面』など、多彩な作品で独自の文学世界を築いてきました。一九四一(昭和十六)年、陸軍報道班員としてマレーへ出征。戦後、社会主義探偵小説を標榜した『悪霊』の執筆に着手するも、一九四六(昭和二十一)年、脳溢血で急逝。一九七〇年代には異端文学復活ブームで脚光を浴び、文庫化などで人口に膾炙したのはご存じのとおりです。
 二〇二一(令和三)年の春、小栗が戦時中に連載していた新聞小説『亜細亜の旗』が発見され、これまでと違った相貌も確認されました。
 本年は小栗虫太郎の生誕一二〇年、歿後七十五年にあたります。小栗虫太郎のデビューし、活躍した『新青年』は創刊一〇一年です。
 このたび、ご遺族、研究者、各団体のお力添えで、複製を含みますが、貴重な資料を一堂に集めることができました。「論理の貴族主義者、抽象の詩人の比類なき情熱と、驚嘆すべき博学と、悽愴なる気魄(*)」を、ぜひ、ご堪能ください。(*江戸川乱歩「序」/小栗虫太郎『黒死館殺人事件』)

小栗虫太郎展
期間
八月二十一日(土)~九月二十六日(日)
入館料 一般三〇〇円
高校生・市内高齢者一五〇円
中学生・無料
休館日 月曜日(九月二十日を除く)、九月二十一日(火)・二十二日(水)・二十四日(金)
開館時間
九時三十分~十七時
(最終入館十六時三十分)
主催/会場 市立小樽文学館
〒047-0031
小樽市色内一-九-五
電話0134-32-3288
後援 小樽文學舎