訃報

訃報・北上次郎氏

 会員の北上次郎(本名・目黒考二)氏が一月十九日に肺癌のため亡くなられた。七十六歳。北上氏は一九四六年東京都生まれ。明治大学文学部卒。七六年に椎名誠氏らと「本の雑誌」を創刊し発行人となる。同誌を始めさまざまな雑誌などで、エンターテインメント小説全般にわたる書評活動を行った。本名の目黒考二名義では日常を描いたエッセイや私小説を、藤代三郎名義では主に競馬エッセイを多数執筆している。
 八四年に「冒険小説の時代」(八三年)で第二回日本冒険小説協会大賞最優秀評論大賞を、九四年に「冒険小説論 近代ヒーロー像100年の変遷」(九三年)で第四十七回日本推理作家協会賞評論その他部門を受賞した。他の著作に、「極私的ミステリー年代記 1993~2002」(二〇一三年)、「書評稼業四十年」(一九年)などがある。目黒考二名義では「本の雑誌風雲録」(八五年)、「笹塚日記」(〇〇年)、「昭和残影 父のこと」(一五年)など、藤代三郎名義では「戒厳令下のチンチロリン」(八二年)「外れ馬券に雨が降る」(九五年)などがある。
 日本推理作家協会賞の第三十六回~五十一回の長編部門、第五十二回短編および連作短編集部門、第五十三回長編および連作短編集部門の予選選考委員を、第五十四回と第五十五回の短編部門と評論・研究部門の選考委員を、第六十三回~七十六回の長編および連作短編集部門の予選選考委員を務めた(第七十六回は中途辞任)。