これも女性の誘惑?
自称「和算小説家」を名乗るようになって久しい。そうなった理由を尋ねられることはよくあるが、あまり言いたくない。そもそも「和算」は、新人賞受賞のために、選考委員の気を引こうと思って選んだ題材だったからだ。それで、わたしの説明はいつも、中学校時代から推理小説を書いていて……、で始める。当時、江戸川乱歩にはまっていたのだ。
その後のわたしの、表向きの人生(エンジニア)も作家人生も、いちいち説明を要する。つまり、クリエイティブなことをしたいという想いを遂げるため、色々なことにチャレンジしてきたからである。
著述に関しては、歴史ノンフィクションやモノづくりに関する本まで領域を広げたが、原点である推理小説執筆の夢は捨てていなかった。
そんなわたしへ、幸運の女神が誘惑のまなざしを向けた。二冊目の児童文学(関孝和を主人公にした『円周率の謎を追う』)が、今年度の青少年読書感想文全国コンクールの課題図書に選定されたのだ。
女性の誘惑に弱いのは男の本能なので、これから「児童文学作家」の看板もかかげることにする。
じゃあ、昔からの夢は? 幸運の女神さ~ん、わたしをミステリ作家にしてくださ~い!