新入会員紹介

入会のご挨拶

月本ナシオ

 初めまして、このたび推理作家協会に入会をさせいただきました、月本ナシオと申します。
 入会のため推薦に関わりお手数をおかけしました、鈴木輝一郎先生、真保裕一先生、ご縁を繋いでくださった緒方さんに、この場を借りて感謝いたします。
 
 今年でデビューして干支をひとまわりほど経ちました。基本的に少女小説と呼ばれる作品のレーベルをメインにお世話になっております。
 ご挨拶のこの場で、初心を懐かしみつつデビューに至る思い出をさせてください。

 幼稚園にいくより前から、物語が好きな子供でした。
 両親が読書好きだったこともあり、生まれたときから家の本棚はいっぱいだった記憶があります。
 紙芝居や絵本など、児童書の本棚だけでまるっと二本あったおかげで、贅沢な環境だったと思います。
 マンガもアニメもとくに制限なく、自由に触れさせてもらえた子供時代でした。
 小学生の頃からほぼ毎日図書館にいて、クラスで一番本を読むのに読書感想文が下手くそで、作文を誉められたことがない子供。
 そもそも、自分で文章を書きたいと思ったことがありませんでした。
 映画を見るのも大好きですが、自分でカメラを構えたことがないように、読むことと書くことはそれほどかけ離れていたんですね。

 なんの疑問もなく絵やデザインに関連した学科に進み、働きだして二十代もいくつか過ぎた頃、小説を書こうと思い立ったのです。
 しかも書くからにはプロになりたいと、投稿原稿から始める勢いで。
 一本目はまったくかすりもせずに落選。
 そして二本目にビギナーらしいラッキーで最終選考に残していただき、ありがたくも選評をいただきました。
 こうなると俄然やる気が生まれ、諦めがつかなくなります。
 それから年に数本投稿するも、一進一退で、受賞にはいたらない。
 けれどお話を考えて、想像して創造することは本当に楽しいことでした。

 会社員との二足草鞋でしたが、創作の興奮で脳内がアドレナリンで満ちていたのか、ひたすら試行錯誤で苦悶しつつ充実の生活でした。
 「休みの日に何をしてるか得体が知れない」と、会社の同僚に気味悪がられたりしたのも思い出。

 当時はインターネットでの交流も盛んな時期で、そこで知り合った友人たちと下読みをしあって、まさに切磋琢磨の日々。
 交流の深かった友人たちが次々デビューを果たし、そんななか私は七年かかっての受賞となりました。
 この七年があったから、これまでの十数年を支えてくれているのがわかります。
 そのときの友人たちとは、いまも年に一度は旅行にいく、まさに旅の仲間です。
 
 流転の様相の出版業界ではありますが、この先も旅をつづけるために、好奇心とある種の野次馬根性を大事に暮らしております。
 人生のどんなときも物語はそこにあって、やる気や癒しをくれ、ときに打ちのめして尻を叩いてくれる心強い相棒。
 生涯大切にしていこうと思っております。
 今後とも会員の一員として、どうぞよろしくお願いいたします。