新年会開催

 恒例の新年会が、一月二十七日(月)午後六時より、飯田橋のホテルメトロポリタンエドモンドにて開催された。
 道尾秀介事業担当常任理事の司会により挨拶に立った京極夏彦代表理事は、「明けましておめでとうございます。地球が太陽の周りを一回りしたので、とりあえずめでたいが、心の中では何がめでたいのだと思っている人の方が多いのでは。確かに天気も悪いし景気も悪いわけです。私たちの業界も例外ではなく、というより他よりも悪いかもしれません。新年の挨拶でこういうことを言うのもどうかと思いますが、事実ですから仕方がありません。ただ出版の歴史を振り返ると、文芸出版業界は常に最先端の技術を取り入れ、先駆ける形で市場を広げ、あるいは内容を充実させてきた過去があります。この三十年間、われわれはそうした努力を怠ってきたように思えなくもありません。もう遅いと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。これからがチャンスかもしれない。私たちにはやることがたくさんあるわけです。新しい元号になったとか西暦の区切りがいいとか、そういう呪術的なことに右往左往してもしかたがありません。そういうものに乗っかる立場ではなく、私たちは時代に呪術を掛ける立場だということを忘れてはなりません。幸いここにはテキストを作る人間と、ページ化するデザイナーとプロデュースしていく編集者が揃っています。この出会いをきっかけにして、新しいビジネスモデルを構築していただければ幸いです」と挨拶。続いて北村薫氏の発声によって乾杯。二百人を超す参加者で会場は賑わった。
 開宴からしばらくして、昨年から行っている新人作家紹介コーナーが始まった。大沢在昌監事の司会により、新人作家が一人ずつ登壇し、作品のアピールやこれからの抱負を語っていった。
 登壇した作家は以下の八名。(五十音順)
 歌田年(第十八回「このミステリーがすごい!」大賞)、柿本みづほ(第十一回角川春樹小説賞)、城戸喜由(第二十三回日本ミステリー文学大賞新人賞)、坂上泉(第二十六回松本清張賞)、坂嶋竜(第一回メフィスト評論賞法月賞)、佐野晶(第一回警察小説大賞)、西尾潤(第二回大藪春彦新人賞)、床品美帆(第十六回ミステリーズ新人賞)
 貴戸湊太(第十八回このミステリーがすごい!」大賞U―NEXTカンテレ賞)は欠席のためメッセージ代読。
 会場の一角には新人作家たちの作品や見本が置かれ、多くのパーティ参加者が注目していた。
 その後も午後八時の散会まで歓談は続いた。
 なお当日、小学館からご寄付いただいたブランデーを会場にて振舞った。