麻雀

十五年目で初優勝

新井政彦

 今年こそは、今年こそはと思いつつ十五年間、一度も優勝できずにきたが、やっと夢がかなってほっとしているところである。
 一回戦から四回戦まで、順位としては二位、一位、一位、二位ということで、三位以下がなかったことが今大会の優勝につながったと思っている。
 総勢三十二人の戦い。今までの私はたいてい一回戦と二回戦で三位か四位になり、早々に優勝戦線から脱落。そうすると緊張の糸がぷつんと切れて、強引な手作りと強引な打牌でますます墓穴を掘っていくというパターンだった。
 しかし今大会は順調な滑り出し。緊張の糸が切れずに三回戦へと進むことができた。三回戦では親の「三倍満」を上がることができ、一気に三六〇〇〇点加算。後から考えるとこの三倍満が優勝の決め手となった。
 三倍満まで伸びた手は今でも鮮明に記憶している。六巡目で立混一盃口ドラ三の跳満を聴牌。一萬一萬二萬二萬三萬三萬四萬六萬九萬九萬九萬中中(ドラは九萬)。待ちは間五萬。そのまま十巡目くらいまで進んだとき、頭だった「中」がすっと暗刻になった。打六萬。待ちは一、四萬。四満が出れば倍満。
 しかし一萬も四萬も出ない。十四巡目くらいに三萬が暗刻になった。四萬を切れば立混対々三暗刻中ドラ三の三倍満。私は四萬を切ってリーチをかけた。一萬、二萬、三萬待ちである。一萬か二萬をツモれば四暗刻。二順後に一萬が出た。
 三回戦が終わった時点で総合二位。一位は角川文化の「宍戸」さん。大会ではいつも上位に名を連ねている強豪である。宍戸さんとの点差は五九〇〇点。私と三位との差は二七〇〇〇点ほどあったので、トップを取れなくても宍戸さんだけマークすれば優勝できる。そう踏んで四回戦に臨んだ。
 南場に入った時、宍戸さんと私の点棒差はほとんどなかった。二人とも三〇〇〇〇点を超えていたので、私が浮き二着、宍戸さんが浮き三着になっても、順位点の差は二〇〇〇点しかない。優勝するには点棒の上で三九〇〇点以上の差が必要だった。
 オーラス。この時点で私は親で浮き二着。宍戸さんは浮き三着。点差は三九〇〇より小さかったと記憶している。トップ走者にリーチがかかった。ツモられても負け。振り込んでも負け。ノーテンで流れても負け。極度の緊張状態のためか、その時の記憶がほとんどない。気がついたら、宍戸さんがリーチに放銃して戦いの幕が下りていた。
 麻雀の短期決戦は、実力よりも「運」の要素が大きい。新年早々、この貴重な運を皆様からいただいた。
 また今大会には四人のプロ雀士(女性三人)の方もご出席され、和やかに、華やかに楽しむことができた。ありがとうございました。
 来年はもちろん連覇をねらいます。


 麻雀大会の様子はYouTubeチャンネルBundanTV内企画の「ニュース8」にて紹介されています。
https://youtu.be/vhaF8dO-cls
 合わせてご確認いただければと思います。