名誉会員の原田裕氏が十月六日に老衰のため亡くなられた。九十四歳。原田氏は一九二四年（大正十三年）和歌山県生まれ。一九四六年に早稲田大学政経学部卒。同年に大日本雄弁会講談社に入社。
　「キング」「講談倶楽部」の編集部や出版部に配属。後に「キング」と後継誌「日本」の編集長を務めた。別名義会社の東都書房に移ってからは、国内ミステリー叢書「東都ミステリー」「日本推理小説体系」を手がけた。
　その後、講談社教育出版局長、第一出版センター社長を歴任し、一九八八年に退社。退社後に新芸術社（後に出版芸術社に改称）を創業、長年にわたり社長を務め、「ふしぎ文学館」など多くの叢書や、ミステリー・ＳＦ作家の選集の出版に携わった。
　また第二十八回～三十五回、第四十五回～四十六回の江戸川乱歩賞予選委員を、第四十三回～五十一回の日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門の予選委員を務めた。
　香典を呈し、協会よりの弔意を表した。