訃報

名誉会員・眉村卓氏

 名誉会員の眉村卓氏が、十一月三日に誤嚥性肺炎のため亡くなられた。八十五歳。眉村氏(本名・村上卓児)は一九三四年大阪生まれ。五七年、大阪大学経済学部卒。耐火煉瓦メーカー勤務の後、嘱託コピーライターに。六一年に「下級アイデアマン」で、早川書房主催の第一回空想科学小説コンテストに佳作・第二席入選。六三年に初の著作「燃える傾斜」を刊行。六五年から専業作家になった。日本SF界の第一世代と呼ばれる作家の一人。
 司政官シリーズ中の長篇「消滅の光輪」で七九年に第七回泉鏡花文学賞、第十回星雲賞日本長編部門を受賞した。また同じシリーズの「引き潮の時」(全五巻、八八年~九五年)で九六年に第二十七回星雲賞日本長編部門を受賞している。
 ジュブナイル小説の「なぞの転校生」(七二年)や「ねらわれた学園」(七六年)はテレビドラマ化や映画化され、後進の作家やSFファンに多大な影響を与えた。
 他の代表作に「ぬばたまの……」(七八年)「夕焼けの回転木馬」(八六年)「カルタゴの運命」(九八年)などがある。
 病床の妻に、毎日ショートショートを書き、贈り続けたエピソードで知られ、後に映画化もされた。
 第三十七回日本推理作家協会賞短編部門、際三十八回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門の最終選考委員を務めた。
 葬儀に際し、供花を呈し協会の弔意を表した。