3月の土曜サロン報告――平山雄一さんをお迎えして
協会事務局から青山生涯学習館に場を移し、会費制を復活させての初の土曜サロンは、3月16日に平山雄一さんをゲストに迎え、会員石井春生さんに実務サポートをいただく形で開かれました。
テーマは「ヒラヤマ探偵文庫とミステリのインディーズ出版」。今も母校に謎の部活として伝わっているという高校時代の〝シャーロック・ホームズ部〟に始まり、ガリ版刷りの会誌から一行しか表示できない初期ワープロの導入、フロッピーディスクでの販売など、まさにセルフパブリッシングの進歩とともに歩んでこられた平山さん。
海外のシャーロッキアンへの発信、The Shoso-in Bulletinの創設なども前世代からは考えられないもので、〝ポケミス私家版〟といった体裁で、ヴィクトリア朝以降、黄金時代以前の作品群を精力的に刊行されている「ヒラヤマ探偵文庫」は、それらの過程あっての成果なのでしょう。いろいろと出版事情の厳しい昨今、作家もプライベート・プレスを持つことが求められているのかもしれません。 同じヒラヤマ探偵文庫で、主として大正時代の作品を担当しておられる湯浅篤志さんのお話もあり、文壇作家が通俗小説に進出してゆく中での探偵小説との接触なども興味深いものでした。