四月の土曜サロン報告――辻真先さんをお迎えして
~見て読んで書いての24時間~
四月十二日の土曜サロンは、今も現役作家として精力的に活動を続け、一方でインプットも怠らない辻真先さんをゲストにお迎えし、三月末に九十三歳のお誕生日を迎えられたということで、「Age93の作家生活~これまで、そしてこれから」と題し、〝現在ただ今〟の執筆と日常につき話していただきました。
長らくお住まいの熱海のマンションでは、毎日のスケジュールがきっちり決まっており、ために以前のようには東京に出てこられないとのこと。それも「自分が書く時間だけは確保しておきたいものですから、あとの部分はできるだけみんなカットしていっちゃう」とのことです。その一日の過ごし方はというと、
「八時ごろに起きましてぐだぐだしまして、九時半あたりでアニメを一本。その感想をすぐ書いてもまだ熟してないので、その前に見たアニメや本についてツイッターに書きます。十時半ぐらいから小説や漫画の読み残しを三十分か一時間。もっと読みたいけど目が痛くなるのでね。そのあと今かかっている長編を一枚でも書いて食堂へ。昼寝して目を休めて、四時過ぎぐらいまでに小説を三枚ぐらい。夕食の時間をはさんで仮眠する場合もありますが、なるべくアニメか漫画か小説であったかを三十分ぐらい見ます。それからもう一度仕事にかかって二枚ぐらいですから、一日に五枚、六枚書ければ御の字です」
入浴後はまた読書か視聴を三十分。そのあとは何と官能系のサイトをチェックされるそうですが、これはキャラクターなどの流行に一番敏感で先取りしているのが、それ系のゲームクリエーターだからで、かつてはサブカルチャーの新しい波は関西で起きて東京に波及したように、今は中国が侮れないとか。
そのあとが晩酌タイム。お酒のこだわりもうかがいましたが、聴き手が下戸なので詳しくはご容赦。そしてそのあとは、
「一昨年ぐらいまではだいたい一時だったんですが、何とか十二時には寝ようと思っています。それで八時に起きれば八時間寝たことになりますから、これが僕の一日です」
先般「昔は一日五十枚書けたが、今は五枚ぐらい」の発言で怠け者の後輩を震え上がらせた辻さんでしたが、その五枚を書く秘訣が明かされたわけです。
ほかにNHKを退局してアニメ脚本を手がけるようになるまでの不安、そのアニメに熱中していた時代にかつての同僚から浴びせられた言葉、さらには近作『命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎』の執筆における物語構成作法など、ふだんうかがえないお話も次々と披露されて、実に濃密な二時間となりました。