訃報

会員・白川道氏死去

 会員の白川道氏(本名・西川徹)が四月十六日に大動脈瘤破裂のため亡くなられた。六十九歳。白川氏は一九四五年中国生まれ。一橋大学を卒業後、広告会社などに勤務。その後、投資顧問会社を設立したが違法行為で実刑判決を受ける。そのバブル時代の経験を生かし、株の仕手戦にしのぎを削る男たちを描いた「流星たちの宴」(九四年)で作家デビューを果たした。
 続いて、肉親や友との絆を守るために罪を犯す男が登場する「海は涸いていた」(九六年)を発表し、アウトロー小説やハードボイルド小説の書き手として、高い評価と人気を呼んだ。復讐をテーマにした大作「天国への階段」(〇一年)はベストセラーになった。
 阿佐田哲也「麻雀放浪記」シリーズを髣髴させる青春ギャンブル小説である「病葉流れて」(九八年)は後にシリーズ化され計七作が発表されている。
 他に、のし上がる男と未解決事件に執念を燃やす刑事が登場する「最も遠い銀河」(〇九年)などがある。今年三月の「神様が降りてくる」が、生前最後の刊行作品となった。
 香典を呈し協会よりの弔意を表した