ソフトボール

推協ソフトボール、継続は力なりき乎

集英社クリエイティブ 山田裕樹

 1999年4月。この時、推理作家協会有志vs編集者有志のソフトボール大会が始まった。その第一回に出場してまだ続けているのは、推理側5名、編集1名。
 その1名こそ、私、ヤマダである。ライト8番から始めて、4年目あたりから、ずっとピッチャーとして孤独のマウンドに立ってきた。小学校の時に投げて以来だが、なんとかストライクだけは入るのである。ある8月の炎天下に3試合を投げ続け熱中症になったのが8年前、それ以来、1試合限定と勝手に決めた。
 さて、世の濫觴を知っている者はこちら1人、推理作家はミステリーズ5人。どうということはないはずだが、これが20年近く続くとどうなるか? 世代交代が滞るのである。去年から今年までのデータを、問い合わせてびっくらこいた。
 13勝7敗、だそうだ。わがエディターズは6つしか勝ちこしていないではないか。私の感覚では16勝4敗くらいの印象だったのだが、記憶はいいように修正されるものである。特に、去年の夏あたりから、よる年波のせいか、ミステリーズがさっぱり勝てなくなったように記憶している。
 まあ、老人ホームにボランティア・チームが慰問に行ったと思えばよろしい。そして、敬老精神などという高邁な思想を理解するような者は、初めから編集者になどならない。結果は明らかである。
 さて、5月の定例試合。なぜかわがエディターズはなにかのイベントのせいか、ショート、サードを始めとする主力がごっそり来ない。さらにメンバー不足を理由に中堅選手2人をミステリーズに無償トレードすることになった。結果は、無残。右打ち狙いに徹してきたミステリーズになす術なく2回裏に14点も取られてしまった。まあ7つもエラーすれば大谷選手だってそのくらい取られるわい。しかもそのうち2つは私のエラーである。しかも無償トレードの二人が打つこと打つこと。で、1回戦は大差のコールド負け。
 それにしても、家貧しゅうして孝子出ずるものである。2試合目、セカンド守備に私が回って、まったく投球経験のない光文社福田クンが急遽、マウンドに立った。1回表に11点を献上したのは、ただの投球練習である。そのあと福田クンの快投は、エディターズのさらなる明るい未来と、ミステリーズの暗くおぞましい未来を如実に示している。
 そして、ののしりあい、詭弁を弄しながら、ソフトボールの試合は、今年も続く。

 それにしても、ボロ負けした試合のことをなんで、わしが書かねばいけんのか?