新入会員紹介

新入会員挨拶

ふか田さめたろう

 このたび日本推理作家協会に加入させていただきました、ふか田さめたろうと申します。
 ふざけた名前ですが青春ラブコメディや異世界ファンタジーなどのライトノベルを執筆しております。何卒お見知りおきください。
 私はミステリーが子供のころから大好きでした。シャーロック・ホームズや古畑任三郎シリーズ、夢水清志郎シリーズなどに親しみ、そのうち新本格ミステリーやマーダーミステリーなどにも手を出すようになりました。人生の大半をミステリーとともに過ごしてきたことになります。
 そのため、数々の著名な先生方が所属する協会に自分も名を連ねることになるとは思ってもおらず、感激しつつも戦々恐々としています。
 人生最推し作家であらせられる綾辻行人先生神も中にはいらっしゃるので「うわー!」と大海原に泳ぎ出したい気持ちをぐっと堪える日々です。
 そして今回、恐れ多くも会報誌のスペースをいただけることになりました。
 神々の目に触れるやもしれない場所で、へたなことは書けません。そのため、現在とても悩んでおります。
 それというのも、私は文章を書くことを趣味兼生業としておりますわりに、作文が大の苦手なのです。
 中学くらいからこっそりと小説を書くようになり、インターネット上にアップしたり、同人誌を作ったりした結果、何の因果かプロデビュー。ミステリーを書いたことはまだありませんが、小説の執筆歴はそこそこあります。コミカライズも含めると商業出版物は三十冊を超えました。
 物語はすいすい文章が出てきます。
 ですが、自分のことを書こうとすると途端に筆が止まってしまいます。
 そのためたった二ページの単行本の後書きで毎回四苦八苦します。学生時代の作文課題は、いかにして字数を稼ぐかに腐心して内容の薄いものを量産していました。
 今回の挨拶文も少し書いては消し、また書いては消し……と繰り返しています。もうかれこれ一週間以上も進んでいません。これが産みの苦しみかあ……とぼやいたところで閃きました。
 最近とびきりの『産みの苦しみ』を体験しました。そのことについて少しお話させてください。
 今年の六月二十五日の午前九時六分、第一子となる女の子を出産いたしました。
 ここまでお目を通してくださっている方は「このペンネームで女!?」と驚かれたかもしれません。雑な叙述トリックということで、ご了承いただけますと幸いです。
 ともかくこの『産みの苦しみ』は、これまで経験した中でも群を抜いたものでした。
 破水からのべ三十二時間という死闘の末の出産でしたし、開いた骨盤がうまく戻らなかったらしく、それから一週間ほどはまともに歩くこともできませんでした。出産した次の日に病室備え付けのトイレに行こうとしたら往復一時間かかったほどです。
 今まで数々の締め切りに追われ、展開に詰まり、夢の中でも原稿の直しに苦しめられてきましたが、これはさすがに挫けそうでした。
 しかしその試練を乗り越えた末に会えた我が子は、筆舌に尽くし難い可愛さを秘めていました。
 最初のうちは大変なことばかりで必死の毎日でしたが、首もすわって表情が豊かになっていくにつれ、可愛さ爆発で日々メロメロにされています。
 そしてこれを書いている今現在は生後五ヶ月目。
 寝返りもスピーディとなり、機動力が日々成長しています。はいはいをする素振りも見せています。破壊の限りを尽くす日もきっと近いと察し、家の片付けに追われております。
 人見知りをする前ですので、散歩に出るとまったく知らないおばちゃんおじちゃんたちにもニコニコして「可愛いねえ!」とお褒めの言葉をいただきます。
 私が四六時中話しかけたためか、はたまた単におしゃべりが大好きなのか、ご機嫌のときはずっと「あうばうきゃーーう!」と叫んでいるのでずっと聞いていられます。たまに心配になって顔を覗き込みますが、たいてい笑顔です。本気泣き数秒前のときもあります。
 抱っこしてほしいときは、こちらの顔を見て「うー……」と唸ります。
 激しい動きがお好みなのか、抱っこしたまま連続でスクワットをすると声を出して笑います。どれだけ不機嫌でもスクワットでニコニコですが、そこそこの回数を要求する鬼教官でもありますので、スクワット担当のパパはヘロヘロの汗だくになります。いい運動かもしれません。
 来年からは保育園に行ってもらう予定ですが、そうなるとこの可愛さがいろいろな人に知られてしまうのでアイドルと化してしまわないか心配です。
 このように親バカ爆発しておりますが、悩みは尽きません。
 なかなか体重が増えなかったり、夜泣きが酷かったり、離乳食をいまいち食べてくれなかったりして、試行錯誤の毎日です。
 先日も夜中の二時に泣いて起こされ、そこから一時間刻みで泣かれ続けて朝になりました。「体内時計が正確!」と感心しましたが、さすがにその日はダウンしました。
 とはいえ目を合わせてにこーっと笑ってもらえるだけで疲れもすべて吹っ飛びます。
 そもそも子供に例えられることもある創作作品でさえ思い通りにいかないことばかりですので、赤ちゃんなんてもっと手に負えないはずです。今は困らせられるのを堪能しつつ、これからどんな子に育つのか、ミステリーを好きになってくれるのか、くれないのか、楽しみにしています。
 ここでまったくの余談ですが、私の著作である『婚約破棄された令嬢を拾った俺が、イケナイことを教え込む』のアニメ化が決定しました。
 現在アニメの打ち合わせ真っ只中で、乳幼児を抱えながらオンラインで脚本会議に出ているアニメ原作者は滅多にいないだろうなあ……と、しみじみ思います。そういった意味でも、この子には貴重な体験をさせてもらっております。
 そういうわけで来年は一歳児に翻弄されつつ、アニメ関係の仕事をこなし、小説や漫画原作をバリバリ執筆していきたいなあと意気込んでおります。体力が持つかどうかは神のみぞ知ります。
 時節柄、作家同士の集まりも少ないことと思いますが、もしもどこかでお目にかかることがありましたらどうぞよろしくお願いいたします。アニメもよろしければぜひ。こんなタイトルですが、ほのぼのしたラブコメです。