新入会員紹介

入会のご挨拶

撫羽

 はじめまして。この度、日本推理作家協会の末席に加えていただくことになりました撫羽(もこ)と申します。よろしくお願い致します。
 入会にあたり、推薦してくださった佐藤青南先生、和泉桂先生、対応してくださった事務局の皆様に厚く御礼を申し上げます。
 私がこのような協会に加えていただくのもおこがましいのですが、ご挨拶をさせていただきます。
 2023年6月1日に初出版をいたしました、まだまだ新参者です。いわゆる異世界ファンタジーというジャンルで書かせていただいております。日頃のストレス発散でwebに投稿していた作品で賞をいただき、書籍化となりました。ちびっ子の物語ばかり書いております。
 私自身はどんなちびっ子だったかと思い起こしてみますと、いつもそばに本がありました。とっても人見知りで内向的、その上身体もあまり丈夫ではなかったので本が友達でした。小さな頃は、父がお土産に買って帰ってきてくれた童話を、中高生の時には片道30分の電車通学の時間にいつも文庫本を読んでいました。学生の頃、王道シャーロックホームズに出会い、赤川次郎先生の三毛猫ホームズシリーズに夢中になり、そこから推理小説を読むようになりました。
 協会に名を連ねておられる先生方の作品を読み、ワクワクしたり涙したり。私の脳内で世界が広がりました。現実では病院のベッドで点滴を繋がれていたとしても、脳内では華麗に推理し犯人を追い詰めていたのです。
 社会人になって少しの間、本から離れていた時期がありました。書店に足を運ぶ体力がなかったのです。もともと体力がありませんでしたので、仕事が終わるとそのまま帰宅し横になる。休日は死んだように眠る。そんな毎日を過ごしておりました。ですが、仕事に慣れてきて、少し余裕ができると欲するのです。本が読みたいなぁと。活字と本のあの匂いが恋しくなって書店に行っていました。学生の頃は手が出せなかったハードカバーの本を始めて購入したことを覚えております。
 そのうち、web小説も読むようになりました。そこで出会ったのが、ファンタジーです。その中では転生した主人公がスキルを得て、どんどん成り上がっていきます。仲間を沢山作ったり、国を興したり、この世界にはない魔法で魔王をやっつけたり。それはもう、空想の中では自分はその主人公です。無敵です。子供のように夢中になりました。
 次に出会ったのが、令嬢ものといわれているジャンルです。悪役令嬢がいて、王子や高位貴族の子息に婚約破棄されるというものです。これって、私ならこう書くのになぁ。なんて、ぼんやりと思っていました。書いてみようかな? と、思う切っ掛けになったのが令嬢ものでした。
 webに初めて投稿した作品も、本当は令嬢ものを書くつもりだったのです。それがいつの間にか、転生し高い魔法スキルを持った令嬢が国を救うという物語になっていました。あれれ? 令嬢ものじゃなくなってしまった。なんて思いながら次に書いたのが、初めて書籍化されました『ボクは光の国の転生皇子さま! ~ボクを溺愛する仲間たちと精霊の加護でトラブル解決です~』でした。第4回アース・スターノベル大賞に応募し、ありがたいことに賞をいただきました。まさか書籍化なんて夢にも思っていなかったので、ペンネームも愛犬の名前を使っているくらいなのです。受賞と書籍化の打診をいただいた時には、これは新手の詐欺か? なんてとっても失礼なことを思ったものです。そのデビュー作も6巻まで発売され次巻で完結を迎えます。
 その後も第6回アース・スターノベル大賞、第11回、第12回ネット小説大賞で入賞をいただき、合計4作品が書籍化されております。本当に今の私は夢のようです。
 私が書く異世界ファンタジーの主人公は、どれもちびっ子です。たどたどしい喋り方でトコトコと歩く、立派な幼児体型のちびっ子なのです。デビュー作は、3歳の第五皇子が成長しながら問題を解決していくお話です。2作目は、3歳のエルフのちびっ子が必殺技のドロップキックで「ちゅどーん!」と魔物をやっつけます。3作目は、元貴族の四兄弟の末っ子の3歳児が主人公です。4作目ではとうとう0歳の赤ちゃんになってしまいました。婚約破棄される令嬢はどこ行った? と、全く令嬢ものになっていません。
 ですが、こうして書くようになった私に、夢が1つできました。いつかは私だって推理小説を書いてみたい! これはもう野望と言っても良いかもしれません。現在書いているファンタジーの中でも、小さな謎に挑んだりするシーンはあります。ですが、本格的な推理とはかけ離れています。なにしろ主人公がちびっ子なのですから。でも、とっても可愛いちびっ子が、謎に挑んで解決していくのも痛快だと思いませんか? いえ、ちびっ子にこだわっているわけではないのです。
 こうして、日本推理作家協会の末席に加えていただいたのですから、夢に向かって精進していこうと思います。
 最後になりましたが、改めて日本推理作家協会に加えていただきありがとうございます。まだまだ未熟者ではありますが、よろしくお願いいたします。