土曜サロン

五月の土曜サロン報告 -町田暁雄さんをお迎えして-

 青山生涯学習館において二度目となる土曜サロンは五月二十五日、刑事コロンボの研究では第一人者であり、その日本版と言うべき古畑任三郎シリーズのDVD解説でも健筆を振るわれた町田暁雄さんをお迎えしました。
 題して「名探偵モンクと刑事コロンボ」。いまだ地上波で放送されていないものの、すでに広く知られファンも数多い“Mr.Monk”―サンフランシスコの犯罪コンサルタントである彼は、ロス市警のコロンボ警部補は似ているようで似ておらず、何よりフーダニットと倒叙ものという違いがあります。
 にもかかわらず、両者のファンは大いに共通しているようで、今回のお話ではその秘密が明かされました。ケーブルテレビの低予算ドラマから始まり、ハリウッドとは離れた場所で、テレビ脚本を手がけたことのない作家チームによって執筆された「名探偵モンク」は、その目指すところが同時代のテレビミステリーとは異なっていたのです。
 コロンボ以降、犯罪ドラマはリアルさとハードさを増し、コロンボそのものも新シリーズになると、旧シリーズの華やかな映画的色彩を脱し、犯人たちは上流紳士からサイコパスへ、コロンボの探偵として以外の公私の生活部分も色濃く描かれるようになりました。
 ところが、名探偵モンクは最初から「一九七二年のミステリー」を目指し、全体的にコミカルで心優しく、構成も各話が独立した一話完結主義を貫きました。つまりあえて古き良きミステリードラマを目指した〝ミステリー・コメディ・ファンタジー〟だったのです。なるほど旧コロンボファンに好まれるわけですね。
 なお今回は、映像機器などの用意に関し、サロン担当理事三橋暁さんらのご協力を得ました。どうもありがとうございました。
 さて、次回は、昨今は金田一耕助研究でメディア出演も多い木魚庵こと西口明弘さんをゲストにお迎えします。詳細は次項をご参照ください。
(芦辺拓)