入会のご挨拶
この度、日本推理作家協会の末席に加わらせていただきました白木健嗣と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
第14回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を受賞し、稲羽白菟さんの紹介と佐藤青南先生の推薦で入会させていただきました。昨年の日本推理作家協会の新年会でご挨拶をさせていただいたのですが、緊張して終始あがりっぱなしだったもので、お恥ずかしながらなにを話したかあまり覚えておりません。
僭越ながら自己紹介をさせていただきますと、私は平成元年生まれで三重県四日市市の出身、埼玉県在住でサイバーセキュリティを扱うITエンジニアをしております。
デビュー作では自動運転車に対するサイバー攻撃を題材に、サイバー犯罪対策課の主人公が人工知能「マリス」を使って捜査を行うという小説を書かせていただきました。AIやサイバー攻撃を扱った小説は近年増えてきておりますが、一方で攻撃手法は多様化し、国家ぐるみで大規模化しているため、まだまだ小説の題材として伸びしろはある分野だと思っております。
今でこそITエンジニアをしておりますが、元々は文系の人間で、大学では諏訪哲史に師事して近代文学を専攻していました。卒業後はフリーターになって作家を目指そうなどと世間知らずなことを考えておりましたが、「社会で働いたこともない人間が想像だけで書いた小説なんておもしろいとは思えない」という恩師の言葉にはっとさせられ、まじめに働こうと考えを改めました。この言葉がなければ取り返しのつかないことになっていたかもしれません。
就職活動では愛知県警の内定を得たものの、卒業直前に警察学校の見学で震え上がって内定を辞退し、地元のスーパーに就職。水産担当で魚を捌いていましたが、生魚が食べられないため1年程度で退職し上京。オフィス用品の営業職に就いたものの、薄給のためローソンの夜勤とダブルワークした挙句、1年半ほどで退職と人生の迷子になっておりました。
幸い、ITエンジニアをしていた兄の勧めでIT業界に入り、今はこちらに腰を据えて働くことができております。
2021年に一念発起して新人賞に応募した際も、IT業界で培った知識のおかげで、サイバーセキュリティを題材にした小説を書きあげることができました。
デビューしてあらためて認識いたしましたが、やはりミステリー小説は読むのも書くのもおもしろいです。一生付き合っていけるものに、人生の早い段階で出会えたことはとても大きな幸運だと思っています。
高校生の頃に東野圭吾先生や宮部みゆき先生、島田荘司先生といった偉大な作家の作品を拝読し、漠然と「自分もいつかは作家になりたい」という思いを持つようになりました。デビューするよりも生き残る方が難しいと言われるこの世界において、まだまだ作家を名乗ることはおこがましいのですが、必死にしがみついていきたいです。
日本推理作家協会会員の皆様、パソコン周りでお困りごとがありましたらお役に立てるかもしれません。その際はお気軽にお声がけいただけますと幸いです。
何卒、よろしくお願い申し上げます。