会員 東江一紀氏死去
会員で英米文学翻訳家の東江一紀氏が、六月二十一日に食道癌のため亡くなられた。六十二歳。東江氏は一九五一年長崎県生まれ。北海道大学文学部英文科を卒業後、サラリーマン生活やアルバイト暮らしを送りながら、翻訳学校の通信教育を受講した。翻訳の下訳を数年間続けた後に、八三年にロマンス小説の翻訳でデビューをはたした。以降、ミステリー、純文学、ノンフィクションなど、さまざまなジャンルの翻訳を精力的に行った。楡井浩一名義を含めると、百五十冊近い翻訳作品がある。代表作はドン・ウィンズロウ「ストリート・キッズ」、フィリップ・カー「偽りの街」、ロバート・キャンベル「鮫とジュース」、リチャード・ノース・パターソン「罪の段階」、デイヴ・バリー「デイヴ・バリーの日本を笑う」などがある。
また翻訳学校の講師としても活躍し、生徒の中から多くのプロ翻訳家を育て上げている。
六月二十四日に行なわれた葬儀に際して、供花にて協会よりの弔意を表した。