岡本好古
岡本好古
まだ、宇宙SF長編小説の構想と構成にうちこんでいる段階です。赤方偏移……二重・三重の連星……曲率……光年の単位セパクト……恐ろしく漆黒で極寒の星間宇宙……宇宙全体が、一千億X一千億の星を擁するフイルドであること、未だ解明されない、ダーク・マターとダーク・イナージが宇宙全体の96%の質量を占めるという不気味な現実。このような下調べは、学者とは異質の小説家の私は音をあげたくなります。
数式の藪に踏み入るのは願い下げでも、星に幼児時代から今日まで魅されてきた(どなたでも同じでしょうが)私には多少は不可解なタスクだ、と辛抱するしかありません。それ以上に作家として不可欠なのは、メルヘンの小心髄そのもののような、漆黒の夜空に君臨する銀屑を静然とうちながめて、滔々と沸き起こる創意を育む作業でしょう。