2016年吃驚3件(ひのえさるどしびっくりスリー)
「ロアルド・ダールみたいなのを一生に1編でいいから書きたい」といったのは向田邦子です。たしか2016年の春、何で読んだのか、加齢の常で思い出せないけど。
ダールは1916~90年、向田は29~81年。彼のどんな作品にどう惚れ込んだのか、井上謙・神谷忠孝編『向田邦子鑑賞事典』(2000年・翰林書房)や彼女のエッセー集などで当たってみたが、つかめなかったのは残念。私、向田研究会会員なのに。
〈ホームズ同好会 英スパイ組織?/日英米の記者や乱歩も参加〉という見出しの記事が東京新聞8月17日付夕刊で6面トップを飾りました。在ロンドン・小嶋友美記者が在英30年のBBC放送・清水健氏から取材した特ダネです。
〈「シャーロック・ホームズ研究会東京支部生る」。一九四八年十月十四日の東京新聞はホームズ同好会が日本で発足したことを報じている〉との書き出しで、同会への衝撃的な疑惑を暴露しました。実は日本支部誕生の古い記事を書いたのは、当時社会部記者だった私で、2016年7月に小嶋記者から電話インタビューを受け、同11月には一時帰国の清水氏にも会いました。このびっくりには、同氏が何と私の大学後輩というオマケも。
3件目はミステリーに直接関係はないのだが――。久しぶりに出版ニュース社の清田義昭社長に会ったとき、私は買いたての辻田真佐喜『大本営発表』(幻冬舎新書)を所持。清田氏から、その書評を強引に頼まれて、『出版ニュース』9月中旬号の見開き2ページに掲載されたのも、私にはびっくりでした。
〝12・8〟朝の大本営発表を旧制中学4年だった私はJOBK(大阪中央放送局)ラジオで聞いているのです。今やデタラメ公表の代名詞扱いでしかないこの5文字だけれど、しかし権力側には絶縁できないことでは?