ソフトボール

5月31日 ソフトボール報告

木内昇

 令和初となる開催である。5月31日。あいにくの薄曇りの中、性懲りもなく猛者たちが外濠公園グラウンドに集まった。
 と、ここでミステリーズはにわかに色めき立つ。いつもはわんさかいるエディターズ、今日はいくぶん人数が少ない。これは勝てるやもしれん。
 そもそもエディターズには若手が多い。「僕、野球未経験なんです」と言いながらも、いざ試合になるや、ありあまる体力を武器に縦横無尽に打ったり走ったりして勝利に貢献する曲者が多々潜んでいるのである。油断ならない。
 「よし。今日は万全の布陣で行くぞ」と鼻息荒い河野御大のもと、投手は吉野、三遊間を日本画界の若き逸材・長澤、気鋭の俳優・奥野が固める。
 対するエディターズは、地元チームでも習練を積み、着々と腕を上げているエース山田(元集英社)が登場。ぐいと身体を後ろにひねる、野茂英雄に劣るとも勝らぬトルネード投法にして、左足を上げてから投げるまでマイケル・ジョーダン並の滞空時間。いつ球がくるのか、いや、むしろ投げるのか投げないのか。打者翻弄のフォームにミステリーズは常にしてやられるのだが、この日は「立ち上がりを叩け」とばかりに、小前、鈴峯、逢坂、奥野と上位打線が爆発。初回に3点をもぎとると、勢いに乗って毎回得点を重ねる。
 エディターズもしかし、容易には引き下がらない。名手の両雄山上(双葉社)、小林(KADOKAWA)の連打で2回1点を返すと、そこから毎回3点をとって追い上げてくる。吉野投手は好投を見せたが、私、木内の暴投なども飛び出し(すいません)、6回を終わったところで7―10と逆転されているではないか。
 最終回を前に、なんとしても勝つぞ、と気合いを入れ直すミステリーズ。これに応えてまずは奇跡のアラ喜寿・逢坂がレフト前にヒットを飛ばし、パワーヒッター伊東もセンター前へ弾き返す。根性の猛攻で4点をあげ、奇跡の逆転を果たす。
 その裏、1点ビハインドで臨むエディターズ、打席に立つは10番萩原(光文社)。と、いきなりの強打。すわセンター前に抜けるか、というライナー性の打球にショート奥野が飛びついた。ミートの瞬間一歩前に出てしまったにもかかわらず、打球の速さに対応、すぐさま後方に下がってジャンピングキャッチという、齢50を過ぎた身には(私だ)眩しすぎる瞬発力を魅せたのである。続く東本(集英社)の強打もなんとかさばき二死。ホッとしたのも束の間、福田(光文社)が出塁し、一打同点の危機を迎える。
 打者は代打・似田貝(KADOKAWA)。カツンとボールの下を擦った打球はフラフラとセカンド・鈴峯とユーティリティー・木内の間に上がった。まずい、薄曇りだから球が見えにくい。そういや最近老眼がはじまった気がする。嗚呼、ここで落としたら負けてしまう。禍言が走馬燈のように巡る。人生におけるすべての責任を放棄してきたのが木内である。それとなーく譲ったところ、鈴峯が慌てて前に出て見事スライディングキャッチを決め、試合終了。ミステリーズ、念願の勝利である。鈴峯さん、このご恩は一生忘れません。
 第二試合は、打たせてとる逢坂投手と、丁寧なピッチング高田投手(徳間書店)の投げ合い、打たせ合いとなった。強打者坂本(集英社)の登場もあり、結果、8―10でエディターズの勝利に終わった。
 この日は一勝一敗、相応に競ったよい試合であった。それにしても身体を動かして、汗を掻くって気持ちいいもんです。またグラウンドでみなさんにお会いできる日を楽しみにしております。