ソフトボール

お笑い芸人、推理作家ソフトボールに参加する

カモシダせぶん

 お笑い芸人初の日本推理作家協会入りを果たして早数か月。折角だからこの肩書を生かしてTVに出たい。協会の宣伝になれば入れてくださった恩返しになるし、そう思ってネタ探しをしていく中で集英社の編集、飛鳥さんからソフトボール同好会の存在と、そこで81歳の今も尚ご活躍されてる逢坂剛先生のお話をお聞きした。この話でオーディションを通りテレビ東京さんの『何を隠そう…ソレが』に出演できた。本当にありがたい。こうなると皆さんに直接感謝を伝えるべきだなと思って、5月23日青山運動場での試合に初参加した。
 ただ私には物凄い不安があった。とんでもなく運動音痴なのである。小中高と体育の成績は1か2。鉄棒は前回りも出来ない(逆上がりではなく)。実は少年野球も親に入れられてたのだが、フライがとれない、というかキャッチボールが出来ないので早々に辞めたという壊滅的な下手さ。それをミステリーズの河野治彦監督に正直に伝えると守備なし、打席のみの参加でいいよとの優しいお言葉、ド下手がいきなり参加したことでソフトボールどころか推理作家協会自体を除名されたらどうしようとまで考えていたのでとてもホッとした。
 因みにこの日の初参加は僕だけでなく『何を隠そう…ソレが』の制作会社から若い女性スタッフ2名もやってきていた。彼女らは作家ではないので編集さんたちのチーム、エディターズのメンバーに。
 試合は2試合行われ、最初の試合は5‐7、サクッと3回で終わらせた2試合目は4‐9とエディターズの連勝で終わった。1試合目、途中まで0‐7だったのが、5回表ミステリーズの打線が爆発して一気に5点入った時はかなり胸が熱くなった。
 熱くなるだけの木偶の棒の私は、案の定2試合通して3打席ノーヒット、1フォアとかなり酷い有様。そんな私から見たら皆さん当然素晴らしい動きをされていたのだが、特に逢坂さんの俊敏さは生で見て本当に驚いた。守備、打席、走塁。あんなに動けるのか……45個下の自分が完全に負けていた。また僕と近い世代の猫森夏希さんも物凄く上手だった、守備があんなにきっちり出来るの羨ましい。
 エディターズ側ではそれこそ僕を誘ってくれた飛鳥さんが両試合ともかなり遠くまで打っていた印象。また制作会社の女性2人もソフトボール自体初体験ながらかなりの活躍をみせていた。
 1試合目の終わりに、その女性スタッフと和気あいあいと話してたエディターズの選手がミステリーズ側のベンチに来て「おやおや、こちらのベンチはなんだか暗いですねぇ、松竹芸能さんも大人しくなっちゃってぇ」といじってきたので「誰のおかげであの女子2人がそっちのチームにいると思ってるんだ!僕が番組出たからでしょ!」と大騒ぎしながら突っ込んだら結構ウケた。選手ではなく芸人として1点取れた瞬間だった。
 逢坂さんからまさかの小説より先にバッティングの指導を受けたり、終わりの打ち上げでもいろんな方とお話しできてとても楽しい1日だった。仕事がかぶってない時にまた是非とも参加したい。