麻雀の神様がくれた喜寿祝い
権田萬治
新年の麻雀大会で久しぶりに通算四回目の優勝ができ、一週間後には喜寿を迎えたので、麻雀の神様がくれた貴重なお祝いと深く感謝しています。
実は、麻雀に本当に凝るようになったのは、大学を定年退職してからのこの七年くらいで、とくにこの二、三年は、読書や原稿執筆よりも熱心に?ネットのオンライン麻雀を毎日やっていました。
ところが昨年夏、那須の山荘で自動車事故を起こし、幸い、妻も私も無事でしたが、車が大きく破損し、廃車せざるを得なくなりました。車の運転が好きだっただけに、それまで余り感じたことのない、自分の老いと、人生の残り時間のことを考えさせられ、この事故以後、ネット麻雀を完全にやめることにしました。
ですから、約半年の麻雀プレイ空白の後の今回の優勝には、うれしさと同時に何か複雑な思いがあります。
麻雀には上手い人と強い人がいるといったのは山口瞳さんだったと思いますが、ツキがあれば、下手でも勝つ人は勝つわけで、ツキがなければどんなに上手でも勝てないのが麻雀です。とくに推理作家協会の大会のように、年一回で四回戦という形では、ツキが大きく勝敗を左右します。私の場合も今回は四回戦全部をトップで通過して優勝というのはバカツキとしかいいようがありません。
偶然性が支配する麻雀は確率論の世界です。とつげき東北の『科学する麻雀』(講談社現代新書)は、その意味で画期的な麻雀研究でした。中身は結構難しいですが、打ち方の参考にもなるので未読の方にはお勧めします。この専門家は、最近の研究で、「色々な実力のプレイヤーが大会に参加していたとすれば、ある程度以上に強いプレイヤーの中から、半ば〈抽選〉に近い形で優勝者が決定されることとなるだろう」と指摘していました。要するにクジ運に近いということです。
自動車事故を起こし、車が運転できなくなった時、車大好き人間の私はショックを受けましたが、「無事で良かった。車を使わないで歩けば長生きできる」、「空いたガレージは本の整理基地に活用できる」という逆転の発想で乗り越えて来ました。そのご褒美が今回の優勝だったと思っています。
賞品に頂いたiPadは、早速、ワイファイ環境を設定、毎日使っています。ありがとうございました。
今後このツキがジャンボ宝くじにまで及べば、いうことなしですが、そこまで高望みしたら運命の女神もそっぽを向くことでしょう。
写真家の秋山庄太郎さんが、「銀座のクラブに行ってもちっとも面白くない。楽しみは麻雀だけになった」といって居られたのを後期高齢者になった今、実感するようになりました。
そういえば、宇野千代さんも亡くなられるまで麻雀を楽しんでおられました。
そういうわけで、私も元気でいる間は、この大会に参加したいと思っていますので、どうぞこれからもよろしくお願いします。