新入会員紹介

入会のご挨拶

町田暁雄

 皆さま、はじめまして。このたび、月村了衛さん、千街晶之さんのご推薦により、光栄にも入会させていただくことになりました、町田暁雄と申します。一九六三年、東京・大田区の生まれ。現在も地元大森にて暮らしております。
 小生、本業は、ビジネス関係の企画・編集・文章書きでありまして、小さな広告代理店の企画部を経て、一九九六年にフリーになりました。以後、本業と並行して、皆さまご存知の倒叙ミステリシリーズ『刑事コロンボ』とその周辺のあれこれについて、調べたり書いたり本を作ったりしております。
 ミステリについての守備範囲があまりに狭いこと、本業の傍らのあまりにマイペースな活動であることから、このような伝統ある会に所属させていただいてもよいものか、当然ながら大いに悩んだのですが、月村さんから温かいご助言をいただき、この二〇年継続してきました〝『刑事コロンボ』は、映像ミステリシリーズとしては初めての「古典」となるべき存在である〟という観点に拠る小生の活動にも、ミステリ周辺の試みの一つとして何かしらの意味はあるかもしれない、と考え直し、末席に加えていただく決心を(おそるおそる)したような次第であります。
 コロンボ関係の活動のうち、最も大きなものをご紹介させていただければ、二〇〇四年のスタートから足かけ十一年で完結した同人誌『COLUMBO! COLUMBO!』の刊行であるように思います。創刊号より、黒田研二氏、大倉崇裕氏、早見慎司氏、飯城勇三氏、えのころ工房氏、なぽべん氏等一〇数名の方がレギュラーメンバーとなってくださり、その後も特別ゲストとしてKashiba@猟奇の鉄人氏、青井夏海氏、石上三登志氏、伊東潤氏、香納諒一氏、誉田龍一氏、山本正之氏等にご参加いだだくことができ、延べ二〇名以上のコロンボマニアの方々による幅広い研究・創作・エッセイなどを活字として残すことができました。
 また、この『COLUMBO! COLUMBO!』の絆をベースに、実にありがたいご縁のもと、コロンボの魅力をさらに広く伝えることのできる、いくつかの商業本への展開も実現いたしました。 
 一例を挙げれば、メンバーを中心に一四名が参加した宝島社刊行の研究ムック『刑事コロンボ完全捜査記録』は、第7回本格ミステリ大賞の評論・研究部門にノミネートしていただき、三度の増補・改訂を経て、現在は書籍版(刑事コロンボ完全捜査ブック)が書店に並んでおります。
 さらに、昨年は、その発展形として、飯城勇三氏、えのころ工房の金太郎・草吉両氏、めとろん氏、そして誉田龍一氏に参加していただき、三谷幸喜氏のNHK人形劇『シャーロックホームズ』に基づく子供向け推理クイズブックを制作いたしました。
 その他、ソロ活動(?)としましては、デアゴスティーニ・ジャパンのDVDコレクションでの冊子執筆、短編集『刑事コロンボ13の事件簿~黒衣のリハーサル』(ウィリアム・リンク著 論創社)の翻訳、NHK、AXNミステリー等各局での特番の監修等々、コロンボ関連コンテンツの充実に関し、微力ながら何でもお手伝いさせていただいております(小生でお役に立てることがありましたら、ぜひお気軽にお声をおかけください)。
 最後に、九月末現在の状況をご報告いたしますと、一〇月からの全話放送に向けてのBS-TBSの『刑事コロンボ』特番のお手伝いが一段落し(大倉崇裕氏と山本正之氏にご出演いただきました!)、これも緩いコロンボつながりでオファーをいただいた、来春某社より刊行予定の戯曲版『ダイヤルMを廻せ!』の解説書き用に、資料集めと構成メモづくりを進めているところです(加えて、個人的に、ビリー・ワイルダー、バスター・キートン、そしてハイドンの交響曲についてもコツコツ執筆中です)。
 今後とも、お恥ずかしいようなスローペースではありますが、『刑事コロンボ』やその周辺について、わずかずつでも形にしていければと思っております。
 ご指導ご鞭撻のほど、何とぞ宜しくお願い申し上げます。