入会のご挨拶
この度は日本推理作家協会への入会をご承認いただき、ありがとうございました。私はデザイナーなのですが、入会のご縁に恵まれたことに感謝しています。会員の諸先輩方に愛されるよう頑張っていきたいと思っております。何卒よろしくお願いいたします。
始まりはソフトボールでした。雑誌を中心に仕事をしていた私にある日、大学時代の先輩である編集者から、「すいきょうのソフトボール」にちょっと助っ人で来てくれないかとのお誘いを受けました。なんの飲みサークルかと思ったのですが、運動はもともと好きな方で比較的軽い性格なこともあり二つ返事で参加することにしました。その後、詳しく伺ったところ『すいきょう』とは『日本推理作家協会』、略して『推協』だったと知り、ミステリーとは一読者としての関わりだった私としては大変びっくりしたのですが、そこはそれ、あれはあれということで待ち合わせの神宮の草野球場に勇んで向かうことにしました。
ちょっと緊張していたのかあまり覚えていないのですが、第1回目の参加で見事ホームランをかっ飛ばしました。外野の間を抜くゴロのホームランでしたが、大変気持よく、足をもつれさせながらダイヤモンドを一周しました。その後の打ち上げには仕事の都合で行けなかったのですが、とても楽しい経験となりました。
それからしばらくして、再び前出の先輩編集者より、「また、よろしく!」というお誘いを受け、これまた二つ返事で参加することになりました。このソフトボールが私の人生において大切な日になるとは思ってもいませんでした。
その日のソフトボールは参加者が少なく、推協チーム(ミステリーズ)にキャッチャーがいないという非常事態でした。そこでまたまた登場の先輩編集者から「キャッチャーいますよ!ここに!」と送り出された私は、特に野球経験もないのですが、その日はなんとか助っ人キャッチャーとしての役目を無事終えるのでした。その試合中の談笑の中で普段はフリーデザイナーとして活動していることをお話しさせていただきました。じゃあ、元々こっちのチーム側の人間じゃないかと暖かいお言葉をいただき、仲間に加えていただくことに成功しました。
更にその後の打ち上げ(信濃町のジョン万次郎)にも参加させていただき、各社の編集者さんたちにもご挨拶させていただき(かなりがっついていたと思います)、その縁でカバーデザインなどをやらせていただけることになりました。本当にありがとうございました。
そして、最初のお仕事として担当させていただいた今野敏会長の『任侠書房』『任侠学園』『任侠病院』(中公文庫)というシリーズが、私にとっての大ホームランをかっ飛ばしてくれました。今野さんの作品や山崎杉夫さんのカバーイラストが素晴らしく、私の役割は満塁ホームランの一塁ランナー、いや、一塁コーチくらいなのですが、見事、次の仕事へとつなげることができました。本当についています。
その後もソフトボール(合宿も参加さていただきました。)などを通じて会員の皆様に接していただき、この度の入会となりました。これまで以上にミステリーとの関わりを深めたいと思います。合わせて、お仕事の方でもお役に立てれば嬉しい限りです。
この度、入会にあたり、ご推薦していただいた逢坂剛さん、西上心太さんをはじめ皆様に感謝しております。今後ともよろしくお願いいたします。