新入会員挨拶
はじめまして、この度日本推理作家協会に入会させていただきましたえぞぎんぎつねと申します。
まずは入会にあたりまして、ご推薦いただきました佐藤青南先生、鈴木輝一郎先生には厚く御礼申し上げます。
折角の機会なので、自己紹介させていただこうと思います。
私は鈴木輝一郎先生の小説講座出身のライトノベル作家です。そして専業作家でもあります。
鈴木先生からは推理小説や時代小説を書くよう勧めていただいたこともあるのですが、ライトノベル以外書いたことがありません。
なぜ、ライトノベルを書くことにしたのか覚えていません。読んできた書籍のジャンルもライトノベルより、推理小説の方が多いぐらいなのです。
覚えてはいないのですが、今当時のことを考えると、多分疲れていて、人の死なない、それでいて頭を使わない物語を書きたかったのだと思います。
なぜライトノベルだったのかは覚えていませんが、なぜ小説を書こうと思ったのかは覚えています。
単純に無職だったからです。無職ゆえに創作するための時間があり、そしてなぜか小説を書ける気がしたのです。
それまで小説に限らず物語を創作したことがありませんでした。ですが、書ける気がしたのです。だから書きました。
すぐにデビューできるとは思ってはいませんでした。ですが、そもそも無職だったのです。私には失うものなどありませんでした。
片っ端からライトノベルの賞に応募し、一次落ちを繰り返しました。
しかし、幸運なことに数年で商業デビューすることが出来ました。
何度も一次落ちしましたが、それでも履歴書を送って「お祈り」された回数よりは少ないのです。
そもそも私は内定をいただいたことがありません。
大学の就職課で職を探しました。内定はもらえませんでした。
卒業後はハローワークと求人誌で、職を探しました。当然のように内定はもらえませんでした。
就職のためのハウツー本を数冊読みました。ハローワークには本当にお世話になり、面接の練習までさせてもらいました。
たしかに私は社会に出ることを希望し、何度も何度も履歴書を送っていたのです。
全て門前払いです。誰も私が社会に出ることを許してくれませんでした。
私は社会に拒絶されたようです。どうやら社会には私という存在は不必要だったのです。
社会に出ることを唯一許してくれたのが、出版業界、ライトノベルの世界でした。
だから私にはこれしかありません。
文章能力、お話を作る能力、作品を売り込む能力、はたまた編集者と上手に付き合う能力も含めて、作家として必要とされる能力の全てが未熟で不足していると自覚しています。
それでも、私には小説を書くことでしか社会とつながる方法がありません。
専業になるのはリスクが高いとよく言われますが、私には最初から専業の道しかありませんでした。
だからこそ、出来る限り長く、出来れば死ぬまで商業作家を続けていきたいと望んでいます。
まだまだ未熟者ですが、なにとぞご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。