新入会員挨拶
入会に際しましてご協力を賜りました先生方、理事会、事務局の皆さま方に深く御礼申しあげます。
この度、日本推理作家協会の末席に加えていただくことになりました、柳野かなたと申します。現在の代表作は『小説家になろう』より書籍化した、オーバーラップ文庫刊『最果てのパラディン』というライトなファンタジー小説となります。
ここで即座に、「ははぁ、さては『文美国保』が目当ての入会だな?」と推理された方もいらっしゃるやもしれません。
多くの名探偵の産みの親である皆さまを前に、無益な弁明は致しません。その通りです。
半ば不純な動機で入会を希望したわたくしを受け入れてくださった日本推理作家協会さまの懐の深さに、重ねて感謝いたします。そして願わくば、ここで古典的な推理小説の犯人のように、少しばかり動機の弁明をすることをお許し下さい。
そう、動機です。
ご存知の通り、ただライトノベル作家が『文美国保』に加入するためというなら、それが可能な加盟団体はいくつか存在します。ライトノベル作家の協会は存在しませんが、たとえば作品が漫画化している以上は日本漫画家協会さんなどに「漫画の原作者です」などと名乗って加入を申し込むことも可能でしょう。
「だというのになぜ、あえて推理作家協会を選んだのか?」
そう問われるならば、答えは一つです。
―それはひとえに、私が推理小説を愛しているからです。
小学生の頃に児童館で全巻を読み通した、推理作家協会の創設者たる江戸川乱歩先生の『怪人二十面相』シリーズ。中学生の頃には『シャーロック・ホームズ』や『アルセーヌ・ルパン』のシリーズ。あるいは『ミス・マープル』や『エルキュール・ポワロ』、あるいは『虹北恭助』や『夢水清志郎』。
高校生の頃には、改めて江戸川乱歩先生の『人間椅子』や『芋虫』といった猟奇的な作品群にも手を伸ばしました。猟奇的といえば、乙一先生の『GOTH』シリーズなども印象深いですね。
更には『すべてがFになる』や、『ハサミ男』といった今でも名高い名作から、いわゆるバカミスや奇作と分類されるタイトルたち。あるいは『古典部』や『小市民』シリーズのような、「日常の謎」系の作品。
エトセトラ、エトセトラ…もはやタイトルも朧ながら、ただ「面白かった!」という記憶のみが残る作品も多数あります。
私の読書生活は、長く推理小説とともにありました。現在おもに活動しているライトノベル媒体やファンタジー分野よりも、その出会いはずっと早く、長い付き合いだったのです。
なんなら中学生の頃に初めて書こうとした小説らしきものも(今思えばひどい出来でしたが)、推理小説でした。
そしてまがりなりにも作家となり、何らかの団体への入会を考える時期に見つけた、「日本推理作家協会」の八文字!
もはや社会人となった私の胸が、子供のように高鳴りました。
「江戸川乱歩の探偵作家クラブだ!」
「幼少の砌に読んだ、あの団体がまだずっと続いてるんだ!」
「入会費や年会費の比較などもういいから、ここに入ろう! ここに決めた! 誰かから推薦をいただこう! お願いしよう!」
推薦してくださる先生の前ではそれらしいことを語っておりましたが、私の内心の「動機」はといえば、このような稚気そのものでした。
そして今、私はここで「新入会員挨拶」などという不相応な文章をしたためております。やってしまいました。紛れ込んでしまいました。幼少の砌に憧れた、探偵作家クラブの後裔へ!
かくいうわけで金目当ての犯行かつ、衝動的で計画性も乏しい。犯人の弁明としてはたいへんお粗末では御座いますが、供述するところの推理小説への愛は偽りではありません。
「なんだか隅の方の席で、変なやつが目を輝かせているな」
「推理作家じゃないようだが、あいつも推理小説が好きなんだな」
「まあそういう奴もいるだろう」という感じで、ゆるくお付き合い頂ければ幸いです。
未熟者というにも色々と足りない奴では御座いますが、以後、どうかよろしくお願いいたします。
この度、日本推理作家協会の末席に加えていただくことになりました、柳野かなたと申します。現在の代表作は『小説家になろう』より書籍化した、オーバーラップ文庫刊『最果てのパラディン』というライトなファンタジー小説となります。
ここで即座に、「ははぁ、さては『文美国保』が目当ての入会だな?」と推理された方もいらっしゃるやもしれません。
多くの名探偵の産みの親である皆さまを前に、無益な弁明は致しません。その通りです。
半ば不純な動機で入会を希望したわたくしを受け入れてくださった日本推理作家協会さまの懐の深さに、重ねて感謝いたします。そして願わくば、ここで古典的な推理小説の犯人のように、少しばかり動機の弁明をすることをお許し下さい。
そう、動機です。
ご存知の通り、ただライトノベル作家が『文美国保』に加入するためというなら、それが可能な加盟団体はいくつか存在します。ライトノベル作家の協会は存在しませんが、たとえば作品が漫画化している以上は日本漫画家協会さんなどに「漫画の原作者です」などと名乗って加入を申し込むことも可能でしょう。
「だというのになぜ、あえて推理作家協会を選んだのか?」
そう問われるならば、答えは一つです。
―それはひとえに、私が推理小説を愛しているからです。
小学生の頃に児童館で全巻を読み通した、推理作家協会の創設者たる江戸川乱歩先生の『怪人二十面相』シリーズ。中学生の頃には『シャーロック・ホームズ』や『アルセーヌ・ルパン』のシリーズ。あるいは『ミス・マープル』や『エルキュール・ポワロ』、あるいは『虹北恭助』や『夢水清志郎』。
高校生の頃には、改めて江戸川乱歩先生の『人間椅子』や『芋虫』といった猟奇的な作品群にも手を伸ばしました。猟奇的といえば、乙一先生の『GOTH』シリーズなども印象深いですね。
更には『すべてがFになる』や、『ハサミ男』といった今でも名高い名作から、いわゆるバカミスや奇作と分類されるタイトルたち。あるいは『古典部』や『小市民』シリーズのような、「日常の謎」系の作品。
エトセトラ、エトセトラ…もはやタイトルも朧ながら、ただ「面白かった!」という記憶のみが残る作品も多数あります。
私の読書生活は、長く推理小説とともにありました。現在おもに活動しているライトノベル媒体やファンタジー分野よりも、その出会いはずっと早く、長い付き合いだったのです。
なんなら中学生の頃に初めて書こうとした小説らしきものも(今思えばひどい出来でしたが)、推理小説でした。
そしてまがりなりにも作家となり、何らかの団体への入会を考える時期に見つけた、「日本推理作家協会」の八文字!
もはや社会人となった私の胸が、子供のように高鳴りました。
「江戸川乱歩の探偵作家クラブだ!」
「幼少の砌に読んだ、あの団体がまだずっと続いてるんだ!」
「入会費や年会費の比較などもういいから、ここに入ろう! ここに決めた! 誰かから推薦をいただこう! お願いしよう!」
推薦してくださる先生の前ではそれらしいことを語っておりましたが、私の内心の「動機」はといえば、このような稚気そのものでした。
そして今、私はここで「新入会員挨拶」などという不相応な文章をしたためております。やってしまいました。紛れ込んでしまいました。幼少の砌に憧れた、探偵作家クラブの後裔へ!
かくいうわけで金目当ての犯行かつ、衝動的で計画性も乏しい。犯人の弁明としてはたいへんお粗末では御座いますが、供述するところの推理小説への愛は偽りではありません。
「なんだか隅の方の席で、変なやつが目を輝かせているな」
「推理作家じゃないようだが、あいつも推理小説が好きなんだな」
「まあそういう奴もいるだろう」という感じで、ゆるくお付き合い頂ければ幸いです。
未熟者というにも色々と足りない奴では御座いますが、以後、どうかよろしくお願いいたします。