新入会員紹介

新入会員挨拶

富士とまと

 日本推理作家協会の末席に加えていただき、誠にありがとうございます。
 異世界転移物小説を中心に書いております、富士とまとと申します。
 入会にあたりお力添えをいただきました佐藤青南先生、沢野いずみ先生にこの場をお借りして深く御礼申し上げます。ありがとうございました。入会を許可してくださった理事会の先生方、また事務局の方々にも、御礼申し上げます。ありがとうございました。

 さて、実は推理要素の入った小説は書いたことがあるものの、推理小説は未だに書くことができていません。推理小説とは「大人になってから出会い」ました。
 通勤中に読む本を探して、赤川次郎先生の本を手に取ったのが始まりです。
 推理小説を書いてみたい! と思い、推理小説の書き方の本を五冊ほど購入したものの。ちんぷんかんぷんで、「私には書けない」という思いを強くしただけでした。
 推理小説を執筆している先生方には尊敬の念しかありません。今は読者として推理小説を楽しませていただいております。そして、楽しいお話を読めば読むほど「書いてみたい」と思い、そして「無理だ」を繰り返しています。

 さて、では私が主に書いている「異世界転移物」とはなんでしょう? 「なろう系」と呼ばれる「異世界転生ファンタジー小説」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
 ですが、お待ちください。「異世界転移」の物語の歴史は非常に古いのです。
 日本最古の異世界転移物語と言えば「竹取物語」ではないでしょうか。(「古事記」や「日本書紀」にも異世界転移物語はありますが、あちらは歴史書の扱い)
 かぐや姫視点で考えれば「月」から「地球」へと異世界転移した物語です。
 また、「浦島太郎」も海の底にある「竜宮城」という異世界へ行く物語でしょう。
 もちろん世界的に有名な「不思議の国のアリス」や「ナルニア国物語」なども異世界転移物語。最近の作品では「ハリーポッター」も魔法の国という異世界へ行く物語と考えてもいいかと思います。
 そして私は、子供のころから異世界転移物語の虜です。
 新井素子先生の「扉を開けて」は大好きな物語の一つです。
 他にも、小説漫画映画問わず好きな異世界転移物語をあげたらきりがありません。「シンデレラ迷宮」「十二国記」「ときめきトゥナイト」「ふすまランド4.5」「ふしぎ遊戯」「彼方から」「天空のエスカフローネ」。
 私の創作の歴史も、異世界転移物語とともにあります。
 小学校五年生で作った話は異世界に行った女の子の物語でした。
 中学生のときに書いていた短編連作小説は「白い世界」で色々な人が人生を振り返る物語でした。
 高校生のころに友人と書いていたリレー小説は、超能力を持った少年少女が「はくちゃんワールド」という異世界へ行って戦う物語でした。
 二十代でコバルト文庫ノベル大賞へ応募した作品は、カラオケのモニターから出てきた手により主人公が異世界へと連れ去れれる物語でした。その次に応募した作品はなんでも願いが叶う夢の世界へと行く物語でした。
 その後、いろいろ公募に応募するもいずれも受賞には至らず、創作から距離を置くことになります。
 そんな私が、小説家になろうに出会いました。ちょうど「異世界転生転移」がブームになりつつある時でした。「うわー! 私の大好きな異世界転移の小説がこんなにたくさん!」と目を輝かせて読みふけりました。もっと読みたいと作品の更新を待つ日々に、ふと自分でも書いてみようと再び小説を書き始めました。もちろん、異世界転移物です。それがデビュー作「無職独身アラフォー女子の異世界奮闘記」となります。
 なろう系と呼ばれる異世界転移転生ものと分類されますが、私はなろう系を書いている意識はありません。子供のころからワクワクドキドキして読んだ大好きな不思議な世界の物語だと思っています。
 いつか子供たちが楽しめる異世界転移を題材とした児童文学も書いてみたいと思っています。
 子供たちが夢中になれる不思議な世界の物語を―。
 そしていつかは、子供向けの推理小説を書けたらいいなと思っています。

 まだまだ未熟者で推理小説に関しては卵の状態ではございますが、皆様どうぞよろしくお願いいたします。