インフル優勝
KADOKAWA 山田剛史
平成最後の日本推理作家協会麻雀大会でまさかの優勝をさせていただきました。二〇一五年に、不名誉なエッセイを寄稿して以来、優勝で寄稿することができるとは思っておりませんでしたが、ご報告をさせていただきます。
ただまず、お詫びから申し上げなければなりません。
実はこの麻雀当日からインフルエンザA型を発症し、翌週丸々欠勤することになってしまいました。ということは、マスクをしてはおりましたが、ウィルスをかなりまき散らしながら麻雀をしていたことになります。前日から咳が続き、体調不良であることは自覚していたのですが、インフルエンザだとは思っておりませんでした。もし、麻雀大会の翌週からインフルエンザにかかった方がおられましたら、お詫び申し上げます。
さて、一回戦は初顔合わせの津嘉山正種さん、集英社野村さん、薩田さんという面子。鋭い打ち筋の野村さんが上家だったので、警戒しながらでしたが、幸い小手ながら上がりを拾うことができ、トップで逃げ切ることができました。
ただ一回戦を終わったころから、どうにも寒気が止まらず、これは休まないと本格的にまずいと思い始めておりました。二回戦、三回戦は二着、三着と徐々に精彩を欠き、朦朧としながら全体の十二位で三卓目へ。
最終戦の面子は宮内悠介さん、徳間の村山さん、弊社の榊原。この頃にはいよいよ寒気が増し、口数も少なく、内心は早く終わらなければという思いでいっぱいでした。
ですが、思いとは裏腹に、ツモが絶好調で、特に親番には信じられないような上がりを連発します。村山さんと榊原は徐々に点数を減らし、宮内さんだけが粘りの3万点維持。しかし、南場に入ってここで信じられないことが起きます。早めにはったため、私がリーチしたところ、宮内さんが誤って私に一発でふりこんだのです。しかも切ろうと思っていた牌の隣を切ってしまったとのことで、「生まれて初めて」と当の宮内さんも驚いておられましたが、何かの魔力が働いたとしか思えないような展開でした。
終わってみれば、私も生まれて初めての一半荘九万点超え。馬もついて十万点を超え、三卓目からのまさかの優勝をさせていただくことになりました。
ですが当然のことながら、喜びを噛みしめる余裕もなく、咳と悪寒に耐えながらの優勝スピーチに。
帰宅後、どうにも寒気に耐えられず病院の救急にかけこんだところ、「A型ですね」と告げられました……。しかもインフルエンザに罹患したのは二十年ぶりのことでした。
禍福はあざなえる縄の如し――。
この言葉を実感した一日でした。
ともあれ、インフルを抱えながら参戦し、みなさんにはご迷惑をおかけしました。
次回はぜひ体調を整えて臨みたいと思います。