名誉会員・加納一朗氏死去
名誉会員の加納一朗氏が八月二十五日に誤嚥性肺炎のため亡くなられた。九十一歳。
加納氏は一九二八年東京生まれ。言文一致体運動で有名な作家の山田美妙を祖父に持つ。大連で育った後に、二松学舎専門学校国文科卒。地方公務員を経て出版社に勤務した。
同人誌「宇宙塵」に参加してSFを書き始め、一九六〇年に「錆びついた機械」が「宝石」誌に掲載された。その後、「歪んだ夜」(六二年)「シャットアウト」(六三年)などのミステリー長編を上梓した。「怪盗ラレロ」(六八年)などジュブナイル作品も多い。
人気テレビアニメの「エイトマン」「スーパージェッター」の脚本も手がけた。シャーロック・ホームズのパスティーシュ「ホック氏の異郷の冒険」(八三年)で、第三十七回日本推理作家協会賞長編部門を受賞した。
六七年より九三年まで日本推理作家協会理事を、第三十二回(七九年)~第五十一回(九八年)まで協会賞評論その他部門の予選委員を務めた。また近年まで長年にわたり、土曜サロンの幹事としても活躍した。
葬儀に際し香典を呈し、協会よりの弔意を表した。