入会のご挨拶
堀川アサコ
はじめまして。堀川アサコと申します。
このたび、当協会に入会させていただくこととなりました。
生まれも育ちも現住所も、靑森県青森市です。さりとて、故郷を愛するあまりどこにも行かず決然として住み続けている……わけでもないのです。「小説家になりたい」というただ一点だけに焦点を絞って生きてきたら、いつの間にか嫁にも行かず半世紀近くもこの土地に居続けてしまった、われながらその変な集中力にはビックリだ──なのです。
二○○六年に『闇鏡(やみかがみ)』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞をちょうだいして、デビュー。その三年後の二○○九年から、執筆に専念しています。
専業作家となったきっかけは、それまで勤務していた会社が解散し、運命の神さまにドシンと背中を押してもらったおかげなのでした。わたしはとてもとても気の小さいたちなので、これくらいのインパクトの出来事がなければ、なかなか踏み出せない一歩だったと思います。ちょうど同じ年に新潮社さんから受賞第一作を刊行していただいたのも、とても幸運なことでした。
それでも、いまもってウィークデーの昼間に出歩いておりますと、近所の奥さま方から「きょうは、これからお勤め?」「せめて、一日に二、三時間でもパートに出たら?」と真顔で心配され、スミマセンと頭を下げる日々です。なにせ、とてもとても気の小さいたちなので「わたしってひょっとしたらニートなのかしら」と思うこともたびたびでして、このたび日本推理作家協会に入会させていただいたことで、ようようにして胸を張れる心地がしております。
わたしはデビューした文学賞がファンタジーの分野なので、これからも、幻想的な世界で「遊ぶ」ことを念頭に書いていきたいと思っております。解くべきナゾ(ミステリー)、解けないナゾ(ファンタジー)のバランスを楽しみながら、前作に負けない次回作を書くことで、一歩ずつ前進して行くのが目標です。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。