追悼

会員・北原亞以子氏死去

 会員の北原亞以子(本名・高野美枝)氏が三月十二日、心筋梗塞のため亡くなられた。七十五歳。北原氏は一九三八年東京生まれ。千葉県立千葉第二高校卒。石油会社などに勤務した後。一九六九年に「ママは知らなかったのよ」で第一回新潮新人賞を受賞しデビューした。一九八九年「深川澪通り木戸番小屋」で第十七回泉鏡花賞、一九九三年「恋忘れ草」で第百九回直木賞、一九九七年「江戸風狂伝」で第三十六回女流文学賞を受賞。江戸の市井に生きる庶民たちを描いた時代小説を多く発表した。
 元同心の隠居、森口慶次郎が活躍する「慶次郎縁側日記」シリーズはテレビドラマ化されるなど、高い人気を集めた。もう一つの人気シリーズ「木戸番小屋」の「夜の明けるまで」で第三十九回吉川英治賞を受賞している。
 四月二十五日に行われる「お別れの会」に供花を呈し、協会よりの弔意を表する。