山本鉱太郎
山本鉱太郎
一昨年私は二つの新設高校から校歌を頼まれて書き、その翌年の春、なんと二つの高校が高校野球県予選で対戦することになった。さっそく出かけると、A校は応援団がほとんどいなくてスタンドはガラすき。それにひきかえB校はブラスバンドで派手にやっている。
かわいそうになって私はA校のスタンドで一人応援したが、15ー0とスコンク負けで初戦敗退。するとなんの手違いか、負けた方の学校の校歌が場内に流れてきたのである。オヤ、変だな、と思っていると、今度は勝者の校歌が流れてきて場内は歓声に包まれた。
ここは虹の湧きおこる丘
われらいざめざめて
おおたかのように羽ばたこう…
はからずも私は数分のうちにわが作詞の二つの校歌をほぼ同時に聞くことができて感動した。こうした確率はほぼゼロ。奇跡としか言いようがない、思い出の一日となった。