新入会員紹介

入会ご挨拶

岸若まみず

 はじめまして。この度、日本推理作家協会に入会させて頂きました岸若まみずと申します。お忙しい中お力添えを頂きました佐藤青南先生、和泉桂先生、そして事務局の皆さま方に、この場を借りて心より御礼申し上げます。今後とも何卒よろしくお願い致します。
 さて、「推理作家協会」の末席に加えて頂いておきながら恐縮なのですが……私は推理作家ではなく、ファンタジー及びSFジャンルのライトノベル、そして漫画原作の分野で活動をしています。自分では書いた事はないものの、ミステリーというジャンル自体には親しんでおりまして、子どもの頃からミステリー漫画をよく読み、ミステリー映画を楽しんでおりました。しかしながらミステリー小説の方は実はほとんど読んだ経験がなく、この入会を期に色々読んでみようと名作を買い込み、今現在まさに入門中の身です。
 漫画ばかり読んでいた子供の頃から、もっともっと小説を読んで、名作に触れて育っていればよかったな……なんて思う事もありますが、なかなか人生そう上手くはいかず。だらだらと青春を過ごした私は、ロックバンドとアニメにしか興味がない大人になってしまいました。
 そんな私が小説を書き始めたのは、ひょんなことからでした。あれはたしか二十代半ばの事、当時夜勤ばかりの仕事に就いていた私は心底退屈していました。拘束時間が長い割に毎日何時間も暇な時間があったので、暇つぶしにWEB小説サイトを読んでいました。しかし一年も同じ会社に務める頃には、もう読みたいものがないなと思うぐらい小説投稿サイトをしゃぶり尽くしてしまい、さてどうしようかと頭を悩ませていたのです。本当は勉強でもすればよかったのですが……元から怠惰な人間なので、仕事の合間に勉強をする気にもなれず。暇で暇で仕方がないとはいえ、仮眠を取っている人もいるためテレビも見れず、呼び出される事もあるためイヤホンもできず。そこで思いついたのが、小説を書く側に回るという事でした。自分で書けばどんな物語にも終わりはなく、自分好みの好きな話を好きなように書けると、本当に軽い気持ちでそう思ったのです。
 思いついたその日に小説の書き方というものを調べ、暇にあかせてスマートフォンに文字を打ちまくり、推敲という行為すら知らず、そのままインターネットにそれを公開しました。運良くすぐに感想欄へお褒めの言葉を頂く事ができ、どんどんその気になっていったのは良かったのですが……考えなしな性格かつ稚拙極まりない文章だったため、すぐに感想欄の流れは悪くなり、ボコボコに叩かれました。それは知らない人間から批判された経験がほとんどなかった自分にとっては、非常にショックな事で「こんな事もう辞めよう」とすぐにブラウザを閉じました。しかし、いかんせん他にやる事もなく、だんだん「そこまで言うことはないじゃないか」という怒りが湧いてきました。そして今度は、その怒りを燃料に小説の続きを書き始めました。
 そこからの「皆が面白いと言うような話を書いて、叩いてきた連中の鼻を明かしてやろう」という目標に向けて書く小説は、なんとなく書いていた頃よりもよっぽど上達が早く、かつ自分に合っていたのか殊の外楽しく、私はどんどん小説にのめり込んでいきました。いきなり小説を書き始めてそのまま習慣にまでできたのは、最初にいい塩梅にインターネットの読者に揉まれた事と、先に上げたような他に逃げ場のない執筆環境が良かったのだと思います。
 とはいえ、そういうド素人だったものですから、書き始めてから二年後に運良く出版が決まった時も困惑の連続でした。国語の勉強も話半分で聞いていたため、あやふやだった段落分けや句読点のルールを担当編集氏から学び、ワードの使い方も知り合いから学びと、様々な人に迷惑をかけながら活動を続けておりました。今回日本推理作家協会に入会させて頂けた事につきましても、X(旧Twitter)にて【日本推理作家協会の一員になってみませんか?】というポストをして頂いていた広報さま、ご推薦頂いた佐藤青南先生、和泉桂先生、事務局の皆さま方、他にも本当に様々な方のご助力を頂きました。
 今後も恐らく至らぬ点ばかりになってしまうとは思いますが、できる限り精進していきたいと考えております。皆さまどうぞよろしくお願い致します。