ハガキ随想

続・古い奴の妄言

長谷川卓也

 半世紀余も昔、私が社会部記者として乱歩さんに初取材したとき「探偵作家クラブってのがあるんだが」と誘われ、「小説の才能はないので」と固辞したのに強引に入らされた。だけど、文化部に異動後は仕事に役立って、感謝。
 鮎川哲也氏が鉄道ミステリーのアンソロジーを出し続けたとき、強引に2編も書かされて、赤面。
 本年5月下旬、光文社文庫がミステリー文学資料館編『古書ミステリー倶楽部 Ⅲ』を刊行。乱歩、五木寛之、宮部みゆきさんら11編のアンソロジーだが、これに何と今はなき『彷書月刊』97年4月号〜98年7月号に連載した拙文「大阪七美味奇譚」から抜いた1編が選ばれて、仰天。
 以上3編の光栄は、誰のおかげ?
 乱歩さんへ、改めてありがとう。