会員・連城三紀彦氏死去
会員の連城三紀彦氏(本名・加藤甚吾)が十月十九日に亡くなられた。六十五歳。連城氏は一九四八年名古屋市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。一九七八年に第三回幻影城新人賞に応募した「変調二人羽織」が入選して作家デビュー。一九八○年に発表した「戻り川心中」で第三十四回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。群を抜いた心理描写とトリッキーなプロットを融合させた作品は高い評価を受けた。その後、純粋な恋愛小説にも作風を広げ、一九八四年に「宵待草夜情」で第五回吉川英治文学新人賞、「恋文」で第九十一回直木賞、一九九六年に「隠れ菊」で第九回柴田錬三郎賞を受賞した。
二○○○年代に入って「白光」、「人間動物園」(○二年)、「流れ星と遊んだころ」(○五年)とミステリー作品を発表し話題を呼んだ。二○○八年の「造花の蜜」が生前最後に発表された作品となった。映画化、テレビドラマ化された作品も数多い。
また第四十三回(九○年)、四十四回(九一年)協会賞の選考委員を務めた。
後日行われる予定の「お別れの会」に供花を呈し協会よりの弔意を表する。