ハガキ随想

ダールで気になる

長谷川卓也

 「ロアルド・ダールみたいなのを一生で一編でいいから書きたい」と、あの向田邦子もいったと知り、ハヤカワ文庫7冊を集めた。彼女が一番好きだったのは何か。
 実はダール本をそろえたのは、もう一つ理由あり。彼の"Son"をべたぼめした記事を昔、何かで読み、掲載誌『プレイボーイ』本国版を取り寄せたことあり。英語は旧制中学で習っただけなのに。それを正確な邦訳で再読したかったのだ。が、7冊の目次に「息子」はない。
 それもそのはず『キス・キス』に「始まりと大惨事-実話」"Genesis and Gatastophe,A True Story"と改題されて入っていました。初出誌での元の題名の方がずっといいのに。〈訳者あとがき〉にも説明なし。何故なのか。