二〇一八年ソフトボール最終戦
集英社 東本恵一
野球経験・知識ゼロの私がソフトボールに初参加したのは去年の四月である。「なんでバットの一番下はコブになっているんですか?」「ソフトボールは全ポジションが下手投げでプレイするんですか?」と尋ね、上司を仰天させた。初試合前日、近所のバッティングセンターで一万二千円を使い、自主練習をして血豆をこしらえた。あれから七ヶ月。私は大成長した!?
晩秋とは思えないほど暖かい気候に恵まれた十一月二十六日。二〇一八年最後のソフトボール大会が外濠公園総合グラウンドにて行われた。ミステリーズ、エディターズ、各十一名でプレイボール。
第一試合。先攻はミステリーズ。小前選手がショートにヒットを打ち、逢坂選手、伊東選手もそれに続きヒット。二点を先取する。対して、エディターズも三点を奪取。二回表、ミステリーズはあえなく3アウトで攻守交代。この機を逃さんと田島選手(集英社)がヒットを飛ばす。続く選手も順調に点を重ね、一挙に七点。私も先輩に負けじとばかりにバットをぶんぶん振り回すと、気付かぬうちに三振、3アウトになっていた。その後、ミステリーズの木内選手が豪快なライトオーバーの本塁打などで猛追するも、十一対十五でエディターズの勝利となった。
第二試合。先攻のエディターズは一挙に六点を先取。私も前述の三振を返上すべく、意気込んで打席に立つ。守備ポジションが前寄りにシフトするのを見て少し傷付きながらも、吉野選手の投球をセンターに返し、全力疾走! 無事、一塁に到着し、フーッと息を吐きホームを眺めていると、一塁を守る木内選手が「(二塁に)行ってもいいんですよ」と仰ってくださり、慌てて進塁。敵選手にアドバイスをくれる優しい木内選手にこの場を借りてお礼を申し上げたい。山田選手(元集英社)には「なぜランニングホームランを狙わんのじゃ!」と叱られたが、謙虚な私は二塁打でも充分幸せだ。その後、伊東選手が満塁の場面で走者一掃のヒットを放つ。ミステリーズは着々と点数を重ね、第二試合はミステリーズの勝利となると思われた。が、最終回。エディターズが爆裂した。飛鳥選手(集英社)、小林選手(KADOKAWA)、松下選手(講談社)、坂本選手(集英社)が、次々とランニングホームラン。打者一巡の怒涛の猛攻で点差を広げる。ミステリーズは追撃できず、ゲームセット。二十三対十七でエディターズの勝利。逢坂選手、伊東選手ともに二試合にわたり、五点に絡む大活躍を見せたものの、二試合ともエディターズの勝利となる珍しい幕切れとなった。
と、生れて初めて見るスコア表と入門書を睨めっこしながら書いたものの、私は意味がわかっていい。華々しいデビュー戦から七ヶ月経っても相変わらず、ずぶの素人なのであった。攻撃では解せないアウトを喰らってチームの足を引っ張り、守備では、半径何メートル以内に落ちたものを拾えばいいのかわからない。そんな私でも毎回愉しくやっている。だから、推協ソフトボールは誰がやっても愉しめる。間違いない。 二〇一九年、野球経験ゼロの人でも是非、参加してほしい。