訃報

名誉会員・鶴見俊輔氏死去

 名誉会員の鶴見俊輔氏が肺炎のため七月二十日に亡くなられた。九十三歳。鶴見氏は一九二二年東京生まれ。三八年に渡米し、翌年ハーバード大学哲学科に入学。四二年に無政府主義者容疑で逮捕されたが、戦時交換船で帰国した。
 四六年に雑誌「思想の科学」を創刊。六〇年には岸内閣の安保条約強行採決に抗議して東工大助教授を辞職、翌年に同志社大教授になるが大学紛争時の七〇年に辞職。小田実とともに「ベ平連」を結成し、ベトナム戦争反対運動を展開した。
 アメリカ同時テロ事件後のアフガン戦争やイラク戦争、自衛隊海外派遣に反対し、平和憲法擁護を訴える「九条の会」設立にも携わった。
 大佛次郎賞を受賞した「戦時期日本の精神史」「漫画の戦後思想」「柳宗悦」など多数の著作がある。九〇年に「夢野久作」で第四十三回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞している。
 香典を呈し、協会よりの弔意を表した。