第四十一回親睦ゴルフ大会
「なぜ今頃になって推協に加入されたんですか?」
知り合いの編集者たちから度々同じ質問を受け、その都度テキトーな返答をしていたら自分でも本当の動機がわからなくなってしまいました。
ただ一つ断言できるのは、推協にはゴルフコンペがある―これがぼくの背中を押したということです。
ゴルフ仲間の編集者たちがこぞって参加するというこの催しに(おれも出たい!憎き彼らを打ちのめしたい!)となったわけであります。
ぼくがふだんラウンドを共にしている編集者たちは仕事よりもゴルフを優先しているため、みんなやたらと上手いんですね。彼らは重版よりもバーディーを欲しているのです。当然、そんな彼らに作家を接待しようなどという気持ちは皆無、ぼくはいつも最下位で悔し涙を流していたのです。
はたしてコンペの結果、ぼくの順位はまさかの一位、優勝です。自分でもどうしたものか、妙に調子がよかったんです。まあ、ハンディキャップをたくさんいただいていたからなんですが、それでも優勝は優勝です。
いやー、うれしー。さいこー。
ただ残念なことに、初参加は一つ順位を落とすというしきたりがあり、結果的に二位になったのですが、それでも帰りの車内はルンルン気分でハンドルを握っておりました。
これは来年も絶対に参加すべし。そして今度こそ正真正銘の優勝を手にすべし―。
あっ!
今、勝利の要因を思い出しました。忘れてはならぬ、大切な要因です。
実は同組に大沢在昌さんがいらしたんです。大沢在昌さんといえば説明不要の大御所、大先輩、当然緊張します。おそらくこの緊張がぼくをいい方向に向かわせてくれたのでしょう。
その大沢先生のゴルフの腕前はというと、まーお上手。たとえパーオンせずとも繊細なアプローチで確実にパーを取ってきます。
そんな大沢先生から、
「染井くん、だいぶ右を向いてるよ。落ち葉を目印にしなさい」
と、的確なアドバイスを受け、その通り実践してみたところ、ナイスショット。新宿鮫の力は偉大なり。
大沢先生、ありがとうございました。銀座を飲み歩く際にはぜひお声掛けを。財布を持たず、駆けつけます!
(染井 為人)