2021年 第74回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門
受賞の言葉
小学生時代、塾通いの電車のお供はシャーロック・ホームズでした。中学校の図書館では三毛猫ホームズや十津川警部シリーズを毎日一冊借り、通学の電車で読み耽りました。推理小説は少年だった自分の好奇心を満たし、育ててくれました。私を取り囲む文芸の世界には常に良質な推理小説があり続けました。その世界の名誉ある賞を賜りましたこと、全ての関係各位に厚く御礼申し上げます。
受賞作『インビジブル』は、歴史の中で見えなくなった誰かが投じた一石を通して、読者自身のいま現在を見つめ直すきっかけにしたいと思い執筆しました。真相を覆い隠すベールを剥ぐのは、いつも真摯な探索者です。激動の昭和を生きた刑事にその役目を託しましたが、我々も今の世に対し問い続けなければなりません。
私の作品が誰かの好奇心を揺り動かし、いつか何かのベールを剥ぐ手助けになれば、これに勝る喜びはありません。この賞がそれを後押ししてくれると信じてやみません。
- 作家略歴
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1990.4~
受賞歴
「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」で第26回松本清張賞、改題後の「へぼ侍」で第9回日本歴史時代作家協会賞新人賞
2020年『インビジブル』にて第23回大藪春彦賞、2021年に第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門を受賞
代表作
文藝春秋「へぼ侍」(2019)
文藝春秋「インビジブル」(2020)
略歴
兵庫県出身、東京大学文学部で日本近現代史を学ぶ。会社勤めの傍ら執筆した「明治大阪へぼ侍 西南戦役遊撃壮兵実記」を第26回松本清張賞に応募し受賞、改題した「へぼ侍」でデビューする。
2021年 第74回 日本推理作家協会賞
長編および連作短編集部門受賞作
せみかえる
蝉かえる
受賞者:櫻田智也(さくらだともや)
受賞の言葉
小説好きが小説を書きだすとき、それは憧れの先人の模倣からはじまります。謎解きの作法に則った推理小説を志すなら、なおさらです。
八年前、新人賞を受けた際の〈受賞のことば〉に、「『あなたはミステリのよい読者でした』といってもらえているようで、とても幸せです」と綴りました。協会賞をいただいたいまも、まったく同じ気持ちで、同じ幸せを味わっています。結局ぼくはデビュー後も、アマチュアの心のまま、今日までやってきたようです。
これからは、いつか自分を、「あなたはミステリのよい書き手でした」と振り返ることができるよう、がんばっていきます。
推理小説が大好きです。このたびは誠にありがとうございます。
選考
以下の選評では、候補となった作品の趣向を明かしている場合があります。
ご了承おきの上、ご覧下さい。
選考経過
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第七十四回日本推理作家協会賞の選考は、二〇一九年一月一日より二〇一九年一二月三一日までに刊行された長編と連作短編集、および評論集などと、小説誌をはじめとする各紙誌や書籍にて書き下ろしで発表された短編小説を対象に、前年一二月よりそれぞれ予選を開始した。
長編および連作短編集部門と短編部門では、例年どおり各出版社からの候補作推薦制度を適用。本年度から長編および連作短編集部門では予選委員による推薦も採用した。なお、推薦枠を持たない出版社からの作品については、従来どおり予選委員の推薦によって選考の対象とした。
長編および連作短編集部門では五十八作品、短編部門では七八八作品、評論・研究部門では二十三作品をリストアップし、協会が委嘱した部門別の予選委員がこれらの選考にあたり、各部門の候補作を決定した。
本選考会は四月二十二日(木)午後三時より集英社アネックスビルにて一部ZOOMによるリモート参加を含め開催した。
長編および連作短編集部門は選考委員・北村薫、恒川光太郎、法月綸太郎、馳星周、柚月裕子、立会理事・真保裕一。短編部門と評論・研究部門は、選考委員・垣根涼介、門井慶喜、深水黎一郎、薬丸岳、山前譲、立会理事・月村了衛。各部門ごとに選考がおこなわれた。閉じる
- 真保裕一[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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例年どおりに評価の目安を得るため、最初に投票を行ったところ、二作がほぼ満票となった。ほぼの理由は、二名の委員が一作に絞ろうとしての結果で、どちらも同評価に近いという意見が出された。
その後、一作ずつの論評に移り、受賞にいたらなかった三作にも好意的な意見は出された。『向日葵を手折る』は、謎の出し方のテンポを評価されたものの、社会の介入をはばむ設定と主要人物に作者がそのまま出ていると感じられる点を惜しむ声が多かった。『ババヤガの夜』は人物造形と筆力を認めながらも、四十年の時間経過を読みたくなり、その構成が悩ましいと評された。『アンダードッグス』は面白く読ませる点は一致した。が、主人公の設定と物語を優先するがゆえの情報の出し方に工夫があれば、との弱点が指摘された。『インビジブル』は、人物の熱気が伝わる王道の筆致と完成度の高さに票が集まった。『蝉かえる』は、社会派的な現代の切り取り方がうまく、トリックと心情が絶妙に成立している点が特に評価された。昨年度の短編部門で評価されてもよかったのに、と悔しがる委員までいたほどである。今回は二作が満票で、作品傾向も違うため、同時受賞に反対意見は出なかった。閉じる
選評
- 北村薫[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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まず、『インビジブル』を推した。
その人でなければ書けないものを書くところに作家の値打ちがある。警察小説は現代ミステリの主要なジャンルのひとつとなっている。作品も数多い。それを近現代史の専門家が、現行の体制になる直前の大阪を舞台にして描く─というところに得難い個性を感じた。
物語の展開、満州からの因縁、バディものとしての二人の造形、クライマックスの場面など、類型的とも陳腐とも思える点が多い。しかし、読んでいる間は、それが気にならない。むしろ逆に、技巧に走らない安定感さえ感じた。細かい部分にも配慮が行き届いている。この人は、次に何を書いてくれるのかと楽しみになった。
一方、『蝉かえる』もまた魅力的だった。泡坂妻夫的、幻想的ともいえるほど不可思議な謎が、まことに鮮やかに解明される策があり、霧が晴れるような喜びを感じた。『インビジブル』とは、全く傾向が異なるが、これもまた、間違いなくミステリの与えてくれる大きな喜びのひとつだ。個々の短編の出来だけでなく、無論、一冊の連作集として意味を持ち、優れている。
『アンダードッグス』は、この舞台、この設定をうまく描き、転がして、ひとつの物語にまとめあげた。そこに大きさがあった。
『ババヤガの夜』は、意図してリアリティを削ぎ落とすことにより、一読忘れ難い、まことに個性的な世界を生み出した。
『向日葵を手折る』は、愛情をもって土地と人物と成長を描いた。
それぞれに魅かれるところはあったが、今回は『インビジブル』と『蝉かえる』が並んで賞を受けることが現代ミステリの豊かさを示すことになると思い、これら二作への授賞を支持した。閉じる
- 恒川光太郎[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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今回から、選考委員をすることになった。
私は『インビジブル』を推していたのだが、選考がはじまり、選考委員一同で、候補作の評価をだしたところ、見事に全員が『インビジブル』を推しており、『インビジブル』の受賞がほぼ確定となった。さすが作者が近代日本史の研究者だけあって、時代の描写がリアルである。大阪市警視庁というその時代にしかなかった組織が、現代の警察へと変わっていく転換期を背景にした、バディ型の警察小説で、罪の動機にも、登場人物たちの心理や背負っているものにも、戦中、戦後の時代に確かに在ったのであろう心の傷や、社会の歪みが活用されていて、登場人物各々が、昭和の歪みに立ち向かっていく様が胸を打つ。警官がホームレスを蹴りとばす最初のシーンからして、作者の気迫と踏み込みの深さが窺える。
『蝉かえる』は、粒ぞろいというべき、完成度の高い作品が揃った連作短編集で、テーマの選別も、謎の解明も、実に巧妙で、鮮やか。一編読み終えるたびに陶酔した。これぞミステリでしょう、と推したのだが、この作品についての協議になると、選考委員全員が好感を得ていたようで同時受賞へと進んだ。坂上さん、櫻田さんおめでとうございます。
今回残念ながら選ばれなかった作品も、それぞれの方向性においての力作、傑作であり、さすが選考の場にあがってくるだけはあると身を正して読んだ。『向日葵を手折る』は、山形県の田舎の光と影を豊かに描写した。向日葵男という、噂だけがある怪人の幻影がちらつく、往年のホラーテイストがよい。引っ越し先の新天地で起こるガールミーツボーイズ小説であり、タイプの違う少年二人が主人公の少女に絡んでくるという、少女漫画的なシチュエーションは、あるいは推理作家協会賞の選考と別の場では、大いに支持されるかもしれない。『ババヤガの夜』は、候補作中、最もリーダビリティが高く、頁を繰るのが一番速かった。暴力団とわたりあう喧嘩が無敵の主人公の女性をはじめとして、敵も味方もみなキャラが立っており、ラストを含めて印象的なシーンも多い。力強くそしてロマンチックな作品だと思う。『アンダードッグス』は、返還前の香港で繰り広げられるスパイ小説で、巻き込まれ型の主人公に、次々に危機が襲いかかっていく。ロシア、英国、中国、アメリカの勢力が入り交じる。国際的な世界観と大胆な展開は、私には到底かけない。銃撃戦などのアクションが多く、ハリウッドのスパイ映画のイメージで読んだ。閉じる
- 法月綸太郎[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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候補作への事前評価は『インビジブル』『蝉かえる』に○、『向日葵を手折る』『ババヤガの夜』『アンダードッグス』に△を付けた。今回は○と△の間にかなり差がある。
まず△の三作から。『向日葵を手折る』は少女漫画っぽい舞台とキャラ設定で、章ごとの時の移ろいもコミックスの次巻へ続くみたいな感覚に近い。が、絵の魅力で押し切れる漫画と、文章による描写・説明の間には埋められない懸隔がある。またスティーヴン・キング風の怪人「向日葵男」が山形の寒村風景にそぐわず、オムニバス的なエピソードとメインプロットの噛み合わせが悪かった。
『アンダードッグス』は奸智術数のドンパチ小説で、昨年も候補になった同じ著者の『マーダーズ』ほど荒唐無稽な粗さが気にならなかったのは、返還前夜の香港が主舞台だからか。だとしても物語を左右する重要な情報がいつも後出しなのは、活劇がメインとはいえ、置いてけぼり感が募る。思わせぶりな巡礼形式の現在編も、小説の建て付けとしてあまり効果を上げていないように思う。
『ババヤガの夜』にはフランスのネオポラールに通じる不穏な匂いがあり、最後までぐいぐい読まされた。語りそのものに仕掛けがあって完全に意表を突かれたが、読了後に小説全体を俯瞰すると、その仕掛けが物語を弱めてしまった感が否めない。女どうしの四十年の逃亡生活が、寸足らずのトリックの説明に押し込められた印象があるからだ。そういう意味では「推理作家協会賞には向かない小説」なのかもしれないが、候補作としてこれを読めたのは幸いだった。
続いて○を付けた二作。まず『蝉かえる』は現代日本を舞台にしたアマチュア名探偵のシリーズとして、申し分ない仕上がりだと思う。一話ごとに本格短編としての工夫があって、精度の高い謎解きが関係者の人生と社会のひずみを閃光のように照らし出す。さらに連作短編集としての配列が秀逸で、特に後半の三編を通じて魞沢泉という狂言回し的な探偵役の生き方が徐々に浮き彫りになり、最終話の結末が巻頭の災害ボランティア仲間の挿話に呼応する構成に感銘を受けた。
大阪市警視庁という魅力的な題材を扱った『インビジブル』には、芦辺拓氏の『時の誘拐』という先例があるけれど、小説としてのアプローチはまったく異なる。主役コンビのキャラ付け等、刑事物のセオリーに忠実な作品だが、話の運びに隙がなく、『インビジブル』というタイトルに収斂するテーマをプロットに練り込む手腕に圧倒された。時代ミステリとしての虚実の気圧配置も絶妙で、55年体制前夜のざわついた空気と中央との距離感が警察小説としての奥行きを深くしている。レトロな見かけとは逆に、令和エンターテインメントの範となりうる傑作ではないか。
新型コロナ禍のリモート参加ということで選考に臨む前は不安も感じたが、司会の真保裕一氏の好采配でスムーズに議論が進んだ。『インビジブル』『蝉かえる』の二作同時授賞に誰からも反対の声が出なかったのは、作品の力を如実に示すものだろう。選考委員としても胸を張れる結果で、坂上泉・櫻田智也両氏の更なる活躍が期待される。閉じる
- 馳星周[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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『インビジブル』ははじめ、首を傾げながら読み進めた。
どこかで読んだことがあるぞという思いが頭から離れなかったのだ。昭和の時代に貪るように読んだあまたの小説の中の一群によく似ている。
どうして今の時代の、それも若い世代の作家がこれを書くのだろう。
そう思いながら、しかし、次第に熱中していった。この作品が内包する熱量に魅入られていったからだ。
古い革袋に新しい酒を注ぐという表現がある。それを借りれば、この小説は古い革袋に古くて上等な酒を注いだと言えるのではないか。
作品の完成度は候補作の中でもぬきんでていた。
『蝉かえる』は、わたしには本格ミステリとしてのよしあしの判断はできなかった。素養が足りなすぎるのである。
それでも、この作品集には魅了された。読み進むにつれ、主人公の探偵役の、人間としての輪郭が徐々に浮かび上がってくる。その構成力、筆力には唸らされた。
ミステリ云々の前に、優れた小説だと感じた。
今年は受賞した二作が頭ひとつ抜けていたと思う。
『向日葵を手折る』は読み進めるのに苦労した。描写がくどい。そのくせ、雑な表現も目につく。
なにより、主人公の少女が最初から大人びすぎていて成長譚としての魅力に乏しい。小学生であろうが中学生になろうが、少女の内面に変化がないのだ。
ゆえに、幼馴染みふたりが主人公に好意を抱くという設定にも乗っていけない。ミステリとしても、事件と社会との関わりが薄すぎてリアリティに乏しい。
『アンダードッグス』もきつい読書となった。
ストーリー展開に後出しジャンケン的な反則技が多すぎるとか、登場人物が多すぎるとか、描写が乱暴だとかいくつも欠点があるのだが、最大の問題はなぜ主人公が元官僚でなければならなかったのかということである。
負け犬のままでは終われないとか、農水省のセーフティネットを守るためとか、そんなことで元キャリア官僚が命を懸けるか?
この小説はわたしの疑問に最後まで答えてくれなかった。
主人公に感情移入できないというのは、この手の小説にとっては致命的である。
『ババヤガの夜』には困らされた。書き手がこの作品で描こうとする世界は、わたしの大好物なのである。好きで好きでたまらない。
しかし、この作品にははじまりと終わりしかない。中間がすっぽりと抜け落ちている。
長い長い逃亡生活を経て変化していくふたりの女性の心情、強まっていく絆というような、そこを読みたいんだよという部分がどこにもない。
これでは作品の内容を評価しようがない。
残念である。閉じる
- 柚月裕子[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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はじめて選考委員を務めたが、選ぶ側がこれほど辛いとは思わなかった。想像はしていたが、候補になった作品はやはりみな面白く、このなかから協会賞を選ばなければならないことに頭を抱えた。引き受けたからには、述べた言葉がすべて自分に跳ね返ってくるのを承知で選考に携わらせていただいた。
『向日葵を手折る』は、テンポよく謎が提示されリーダビリティがあった。多感な主人公が抱く、閉鎖的な土地への怖さもよく描けている。しかし、次々に起こる出来事の顛末が解決を見ないまま置き去りになる感が拭い去れなかった。社会と距離がある土地とはいえ、接触事故や傷害事件など、一度ならず幾度も警察が介入しないのは、作者の都合と言わざるを得なかった。ミステリーの要素と少年少女の成長譚のバランスがとれていなかったように思う。
『ババヤガの夜』は、作品が持つパワーに圧倒された。主人公の丁寧な筆致とすさまじい暴力描写から、作者がいかに意気込んで書いたのかが伝わった。その一方、設定に難が見られた。関東有数規模の暴力団が、ひとりならず何人も捕まえられないのは、作者が仕組んだトリックありきの設定になっているからだと感じたし、尚子という人物も掴みかねた。尚子が両親との問題に決着をつけないまま終わってしまったのが消化不良で、そこを丁寧に描いてこそ、後半の新道と尚子の繋がりが説得力を持つと感じた。
『アンダードッグス』は、壮大なスケールで繰り広げられるエンターテインメントで、候補作中、読者を楽しませようとする気概が一番に感じられる作品だった。場面が映像で浮かび、目まぐるしく変わる場面展開が長いストーリーを飽きさせない。しかし、冒頭から抱いた「なぜこの男が選ばれたのか」が最後まで払しょくできなかった。主人公がこの男である必然性がなく、男の設定は次々に襲い掛かってくるトラブルを回避するための、都合のいいものにしか思えなかった。
『蝉かえる』は、本格ミステリーの面白さと登場人物の人間ドラマの両方が楽しめる作品だった。多少、強引とも思えるトリックも、登場人物たちの気持ちや事情が丁寧に描かれていることによって、無理なく読み進められた。魞沢のキャラクターも物語が進むごとに際立ち、連作短編の醍醐味を感じさせた。ストーリーの構築と人間ドラマが見事に融合した作品だった。受賞おめでとうございます。
『インビジブル』は、歴史や戦後の時代に疎い自分にとっては、苦手な舞台の作品だった。調べつくされた歴史的事実も、この数行はストーリーに必要だろうか、と思う個所があり読み下すのに時間がかかった。しかし、その苦手な読者をも唸らせる、登場人物の造詣があった。バディものの典型といえる組み合わせと、組織のままならない事情が絡み合い、どの登場人物も自分の信念や守るべきものをひたすら追い求める熱さがあり胸を打った。受賞おめでとうございます。閉じる
立会理事
選考委員
予選委員
候補作
- [ 候補 ]第74回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門
- 『向日葵を手折る』 彩坂美月
- [ 候補 ]第74回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門
- 『ババヤガの夜』 王谷晶
- [ 候補 ]第74回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門
- 『アンダードッグス』 長浦京