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2022年 第75回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門

2022年 第75回 日本推理作家協会賞
長編および連作短編集部門受賞作

おおまりけさつじんじけん

大鞠家殺人事件

受賞者:芦辺拓(あしべたく)

受賞の言葉

 ミステリというものの魅力、とりわけ他のジャンルでは味わえない〝知恵の感動〟にとりつかれて手当たり次第にむさぼり読み、自分でも書き始めたのは十代のころでした。その後、幸いにも新世代抬頭のムーヴメントに乗って世に出ることができたのですが、それ以来今日に至るまで、決して手の届かない高峰としてそびえ立っていたのが、ほかならぬ日本推理作家協会賞だったのです。
 こちらからははっきり見えていながら、どうしても行き着くことができない。まるでガラスの断崖に隔てられたように……。でも、わが師・鮎川哲也先生が本格の驍将として飛躍するきっかけとなったのも、辻真先先生の実験的作品をいちはやく評価したのもこの賞であってみれば、せめて一度は候補になりたかった。その夢がかなえられたばかりか、思いがけずいただいた今回の朗報。彼方の高峰には温かい目があった――そのことを今しみじみと感じています。ありがとうございました。

作家略歴
1958.5.21~
大阪市出身。八二年、同志社大学法学部法律学科卒。読売新聞大阪本社にて校閲部・文化部に勤務。八六年、「異類五種」で第二回幻想文学新人賞。九〇年、「殺人喜劇の13人」で第一回鮎川哲也賞を受賞。九四年、作家専業となる。二〇二二年、『大鞠家殺人事件』にて第75回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門、第22回本格ミステリ大賞 小説部門を受賞。他の著書に「殺人喜劇のモダン・シティ」「歴史街道殺人事件」「明清疾風録」「時の誘拐」「地底獣国の殺人」「十三番目の陪審員」など。共編著に「妖異百物語」などがある。

選考

以下の選評では、候補となった作品の趣向を明かしている場合があります。
ご了承おきの上、ご覧下さい。

選考経過

選考経過を見る
 第七十五回日本推理作家協会賞の選考は、二〇二一年一月一日より二〇二一年一二月三一日までに刊行された長編と連作短編集、および評論集などと、小説誌をはじめとする各紙誌や書籍にて書き下ろしで発表された短編小説を対象に、前年一二月よりそれぞれ予選を開始した。
 長編および連作短編集部門と短編部門では、例年どおり各出版社からの候補作推薦制度を適用。本年度から長編および連作短編集部門では予選委員による推薦も採用した。なお、推薦枠を持たない出版社からの作品については、従来どおり予選委員の推薦によって選考の対象とした。
 長編および連作短編集部門では六〇作品、短編部門では八四八作品、評論・研究部門では二六作品をリストアップし、協会が委嘱した部門別の予選委員がこれらの選考にあたり、各部門の候補作を決定した。
 本選考会は四月二十五日(月)午後三時より集英社アネックスビルにて一部ZOOMによるリモート参加を含め開催した。
 長編および連作短編集部門は選考委員・今野敏、柴田哲孝、恒川光太郎、湊かなえ、柚月裕子、立会理事・月村了衛。短編部門と評論・研究部門は、選考委員・門井慶喜、北村薫、法月綸太郎、馳星周、薬丸岳、立会理事・真保裕一。各部門ごとに選考がおこなわれた。
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月村了衛[ 会員名簿 ]選考経過を見る
 最初の投票で『ブックキーパー脳男』と『忌名の如き贄るもの』は点数を集められなかった。両作とも、支持する委員がいる一方でシリーズものであるが故の評価の困難性が指摘された。
 対して受賞作となった『大鞠家殺人事件』は最初から最高得点を獲得。委員の多くが「一気読みした」と賞賛した。そうでない委員も最終的に授賞には反対しないということで贈賞が決まった。
 次いで高得点であった『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』と『トリカゴ』は、無国籍者問題というテーマを同じくすることから議論が伯仲した。決選投票まで行なわれたが、それでも決せず、さらに議論が行なわれた。その過程でより深い考察がなされ、各委員も得るところ少なからぬ選考会となった。両作とも甲乙付け難い作品であるが、得点において受賞作と差があることから、今後の期待を大いに集めつつ、全委員了解のもと同時授賞は見送られた。
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選評

今野敏[ 会員名簿 ]選考経過を見る
 私の読み方が間違っているのか、それとも、私の感覚が世間からずれているのか。そんな思いにとらわれ、ひどく落ち込んだ。
 選考会の冒頭、受賞作『大鞠家殺人事件』の評価を全選考委員に尋ねたときのことだ。私は×。他の選考委員は全員◎か○だった。
 これだけの構成とディテールをまとめ上げた力量には感服する。だが、ひどく古い探偵小説を読んでいるようで、私はこの文体をまったく受け容れられなかった。
 古典のオマージュだという作者の意図はわかる。わざと古くさい文体で書いていることも理解できる。しかし、それはパロディーに過ぎない。
 もちろん、パロディーに文化的、芸術的価値があり得ることはわかっている。だが、この作品に関してはそうした批評的パロディーであると認めることはできなかった。
 さらに、誤解を恐れずに言うと、私はパズルをしたいのではなく、小説を読みたいのだ。殺人の仕掛けはいずれも、現実的にはあり得ないもののように私には思えた。
 ともあれ、他の選考委員がこれだけ推すというのだから、世間で認められる立派な小説なのだと思う。私の勉強が足りないということか。
 私が一番評価したのは『トリカゴ』だった。ハナという名の少女が、とにかくかわいい。私にそう思わせたのだから、もう作者の勝ちだ。無戸籍という大きなテーマを取り上げており、どこまでその問題を掘り下げられたかは一考の余地がある。だが、これはそういう小説ではない。ピュアな人々が必死にもがいている姿を応援する、という作品なのだと思う。その意味で作者は成功していると感じ、私はこの作品を受賞作に推した。
『ヴィンテージガール』は、ミステリに服飾という新しい切り口を見つけ、それが見事に結実させた。アンティークについての蘊蓄もなかなか。
 そしてこの作品の最大の持ち味は、失われていくものを見つめる悲しさ、それを守ろうとする心があふれていることだ。とても切ない小説なのだ。
 ただ、事件そのものが曖昧なのと、死体遺棄・証拠湮滅をした犯人像がかなり唐突な感がある。そのへんの弱点がなければ、受賞作に推してもよかったと思う。
『忌名の如き贄るもの』は、冒頭の長い語りのおかげで、ラストシーンが際立つ見事な構成。民俗学的な話が大好きなので、期待をして読み進めた。そして、おおいに楽しめた。ただ、殺人の方法だが、はたしてこのとおりになるかどうかはなはだ疑問だった。
『ブックキーパー 脳男』は、シリーズキャラクターに多くを負っている。だから、この作品単体では、その魅力がうまく伝わらないだろう。それがとても残念だ。
 ただ、多くの人々と事件が絡み合いつつ、怒濤のように進んでいく勢いはすばらしい。
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柴田哲孝[ 会員名簿 ]選考経過を見る
 今回の選考では、主に作品の頁を捲らせる力、そして登場人物が魅力的か否かを重視した。推理小説が知的なエンターテインメントであるとするならば、まず読者を楽しませる素質が必須だからだ。
 首藤瓜於の『ブックキーパー脳男』は読ませる力には優れていた。だが冒頭の状況設定が強引で、文章も荒く、時系列が読み取りにくい。似たような場面や登場人物も多すぎる。本編は六〇〇頁を越す大作だが、これらの無駄を排して整理すれば、四〇〇頁程度のもっと密度の高い作品に仕上がっていただろう。
 川瀬七緒の『ヴィンテージガール』は、軽妙で読みやすかった。冒頭のエピソードも説得力はともかく、フィクションの〝つかみ〟として面白い。一着のワンピースの仕立てや糸の質、痛み方から被害者の人物像を探っていく手法も秀逸だった。だが、結果的に主役の探偵とその相棒の女性の周囲の人間関係を探るだけで謎が解け、事件が解決してしまうあたりは安易すぎた。偶然の多用は、推理小説では禁じ手である。
 辻堂ゆめの『トリカゴ』は日本が抱える社会問題を題材とした意欲作として期待していたが、作者が消化しきれていないという物足りなさを感じた。主役の女性刑事の思考、言動、行動、特に身勝手な思い込みに関して共感できず、そのために最後まで物語りの中に入り込めなかった。ラストは綺麗にまとめているが、エピローグは長すぎて切れが悪い。
 三津田信三の『忌名の如き贄るもの』は、かつての横溝正史の世界を彷彿とさせるホラー的な推理小説として興味深く読んだ。だが、全体として情景描写が甘く、独特の世界感を楽しみきれなかった。十四歳の子供が死んだのに周囲の家族たちの悲しみが表現されず、葬儀の手順にばかりこだわっている行も現実感がない。後半の、主役の探偵が推理を展開する佳境は退屈の羅列としか読めず、推理小説ならではの味わいに欠けた。
 芦辺拓の『大鞠家殺人事件』は、今回の候補作の中で最も頁を捲る力のある作品だった。
 大阪弁を主体とした癖のある独特の文体だが、軽妙で、上手い。これも横溝正史や江戸川乱歩など、かつての古き良き時代の推理小説へのオマージュとして読んだが、的確な情景描写と個性的で魅力的な人物設定の効果もあり、物語の世界感に心地好く引き込まれた。明治から昭和二十年代の戦後に至る大阪の船場の風景など知る由もないが、当時の大店の風俗も含めて写像が鮮やかに頭に浮かんだ。
 ラストシーンで突如として名探偵役の女性が現れ、それまでの謎をすらすらと解説する行は、多少安直な印象はあった。だが、これも古き良き時代から現代に受け継がれる探偵小説の一つの作法と考えれば、納得できないことはない。読後感も、悪くなかった。
 今回は迷わず、この作品を賞に推した。
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恒川光太郎[ 会員名簿 ]選考経過を見る
『大鞠家殺人事件』を大賞に推した。戦前の船場の町人文化が活写されており、意図的なレトロ趣向が突出した個性を放っていた。話の筋は往年の「旧家の連続殺人事件もの」なのだが、滑稽味のある語り口は新鮮で、謎解きの納得感も、ラストシーンの締めの余韻も見事。焼け野原で推理大会が行われる戦中ならではの一シーンが印象的だった。芦辺さん受賞おめでとうございます。
『ブックキーパー 脳男』は始終スリリングな緊迫があり、最も楽しんで読んだ。出だしのハッカーのくだりから引き込まれたが、シリーズもの三作目である本作は、第一作を読んでいない人には理解しにくい展開が絡んでいる点から、ダークヒーロー鈴木一郎を待っていたという読者としてではなく、選考作単体の完成度を吟味する選考委員としては外さざるをえなかった。
『忌名の如き贄るもの』はオチのミステリとホラーの融合点に驚嘆し、三津田節満載の民俗学系ホラーミステリに戦慄したが、最後に刀城が推理した殺害方法や、殺害動機に引っ掛かるものがあり推せなかった。しかし面白かった。
『トリカゴ』は無戸籍という社会問題に本格的に取材した気概のある作品で、油断させた後に開示される真相のインパクトたるや相当なものである。大藪晴彦賞獲得も納得の出来栄えで、二作受賞でこちらもだすべきではないかという議論が生じた。
 アパレル探偵というユニークなキャラを作り上げた『ヴィンテージガール』は軽妙系のミステリとして非の打ちどころがない完成度で舌を巻いた。今回いくつかあった重厚複雑な他作品とは真逆の作品で、シンプルであっさりした謎解きがむしろ新鮮に感じ、細部にわたって納得感があった。川瀬さんは著作多数のベテランの方だが、手練れのクオリティとバランス感覚である。
 大鞠家の受賞が概ね決定すると、選考委員の推し作品がばらけており、二作受賞への盛り上がりに至らなかった。選考は苦しい。そもそもどの作品も推理作家協会賞の選考委員のために書かれたわけでもなく、作風異なるそれぞれのファンがいる商業作品を同じ土俵に並べて「どれが受賞か」論じるのである。瑕疵についても作家として自作を思い返せば瑕疵のないものなどなく(エンタメ性を突き進めればご都合主義やつっこみどころは当然でてくるし、登場人物や蘊蓄が多ければ作品の展開は遅くなるし、好き放題に書けばバランスが悪くなり、横道減らしてタイトにしすぎれば、読み応えがないという批判もでる)、それぞれの作品はこれでいいのだと思うところも多い。今回読んだどの作品も、各作家が磨き上げた魅力と衝撃があり、この選考の場で落ちた作品も、それぞれのジャンルや読者に大きく支持され得る傑作であることは間違いない。
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湊かなえ[ 会員名簿 ]選考経過を見る
 どの作品も長所をあげればキリがないほどですが、選考上、惜しかった点を記すことをお許しください。『大鞠家殺人事件』と『ブックキーパー 脳男』に○をつけました。
『大鞠家殺人事件』歴史の授業では駆け足で通り過ぎた時代の大阪・船場の様子がテンポよく立体的に描かれていて、映画を見ているような感覚で読みました。蓄音機等を使ったトリック、海外古典ミステリのオマージュなど、ワクワクする要素がてんこ盛りで、今よりもっと読書に夢中だった子どもの頃を思い出し、おもしろいミステリとは?と改めて考えさせられました。トリックが成立するのか、動機が弱いのではないか。そういった疑問を、読書中に感じて世界観が壊れてしまえば欠点になるけれど、読後、物語の外に出てからでは、ただの難癖にしかなりません。
『ブックキーパー 脳男』(『脳男』既読)天才ハッカーがネットで情報を集めるところから始まり、最後、多くの犠牲を出しながら探し求められていたものが、紙に記録されてきた膨大な情報だとわかった瞬間、痺れました。土地の情報を司る一族と記録係がいて、その地のいたるところに目と耳を持つ。情報=ネット、という安易な発想をしがちなことへの戒めのようにも感じました。
『忌名の如き贄るもの』(シリーズ初読)第一章を読み終えた時点で、このあと起きる事件の犯人が李千子で、「私はいなこ」と言って終わりそうだな、と思ったら、その通りになりました。それを前提に読んでも、地名や名字の由来、儀礼の作法等から、トリックや動機を推察する楽しさや、風土や風習に関する学びが多くありました。
 選考会では、人気シリーズの一つが候補作になった場合の難しさを痛感しました。
『トリカゴ』同時受賞を検討の際、これに挙手しました。無戸籍問題についてこれほど丁寧に掘り下げた作品を、他に読んだことがありません。そのぶん、児童虐待「トリカゴ事件」の凄惨さに対し、無戸籍者が集う「ユートピア」が管理者を含めて善人ばかりの平穏な場所で、トリカゴよりもシェルターのような印象が強くなり、児童虐待よりマシじゃないかと、無戸籍問題の深刻さが軽減されてしまったことを惜しく思います。
『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』被服学科で学び、繊維製品品質管理士の資格を持っているので、探偵に負けないように推理してやる! と気合いを入れ、期待を込めて読みました。生地の模様、縫製、ボタンや糸から、その道のプロたちが知恵を出し合い、身元不明の少女の死因が判明し、父親まで辿り着いた全体の九割くらいまで、最高にワクワクしました。しかし突然、磯山。服、関係ないじゃん! と叫びました。盗品も盗む必要がないもので、せめて磯山の妻に結びつきそうなものであったなら、もしくは、母親まできっちり探し出してから磯山に繋がったのであれば、と惜しい気持ちでいっぱいなのは、それほどにおもしろかったということです。
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柚月裕子[ 会員名簿 ]選考経過を見る
 今回の選考会は難航した。議論はテーマやミステリーとしての完成度にとどまらず、この賞の今後にまで及んだ。自分にとって学ぶべきことが多い選考会だった。
『ヴィンテージガール・仕立屋探偵桐ケ谷京介』は、まず著者が持つ知識に圧倒された。桐ケ谷の、一見、突飛と思える推理は豊富な知識に基づいていて、とても面白かった。ストーリーも破綻がなく、どのキャラクターも個性的で魅力的だった。その一方、巧みにまとまりすぎていて突き抜けたものが感じられず、端正な小説にとどまってしまったことが、受賞に至らなかった理由のひとつだった。
『ブックキーパー 脳男』は、出だしは素晴らしかった。先が気になって急いでページを捲ったが、読み進めるうちに辛くなってきた。本作はシリーズものだが、私はこの一作しか読んでいない。いままでのエピソードを知らない者には、あまりにわからない部分が多かった。前の作品を読んでいる人なら絶対面白いだろうな、そう思っただけにそれが非常に残念だった。次にこのシリーズを書かれるときは、はじめての読者への配慮をお願いしたい。
『トリカゴ』は、無戸籍の問題を扱った作品で、著者の熱量を感じる作品だった。この作品においては、どこまでリアリティを求めるか、が議論された。様々な意見が出たが、私は警察の捜査の杜撰なところと、保護された環境であるとはいえ、無戸籍の人たちが長いあいだ周囲に気づかれずに暮らせるのか、という疑問がぬぐい切れなかった。主人公の女性刑事が、常に安全な場所にいて自分の幸せを噛み締めている、という構図も受け止めることができず、評価はできなかった。
『忌名の如き贄るもの』は、私は〇をつけた。冒頭のシーンからぞくぞくし、事件の動機に膝を打った。超常現象と思える出来事も、読み手の解釈で現実のものに置き換えられるところも面白く、ホラーとミステリーが見事に融合された作品だと思った。これは著者の都合ではないか、と思えるところもあったが、それを補って余りある面白さだったが、ほかの選考委員の、ミステリーとしての瑕疵、を聞いて納得し素直に引き下がった。
『大鞠家殺人事件』も、〇を付けた作品だった。最後にいきなり出てきた人物が謎解きをするのは果たしてどうか、と思ったが、ミステリーとしての完成度の高さや、事件の動機、登場人物の魅力などすべてが面白く、加えて、当時の大阪の文化や街並みが見事に描かれていて感嘆した。いろいろな名作を埋め込んでいるのも、ミステリー好きにはたまらないだろう。結果、本作が受賞した。芦辺さんおめでとうございます。
 いろいろ書かせていただいたが、この五作品はそれぞれ違った魅力がありどれも優れた作品であることに間違いはない。楽しませていただきました。ありがとうございました。
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立会理事

選考委員

予選委員

候補作

[ 候補 ]第75回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門  
『ヴィンテージガール 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介』 川瀬七緒
[ 候補 ]第75回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門  
『ブックキーパー 脳男』 首藤瓜於
[ 候補 ]第75回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門  
『トリカゴ』 辻堂ゆめ
[ 候補 ]第75回 日本推理作家協会賞 長編および連作短編集部門  
『忌名の如き贄るもの』 三津田信三