2008年 第61回 日本推理作家協会賞 評論その他の部門
受賞の言葉
日本推理作家協会賞(評論その他の部門)をありがとうございます。『幻想と怪奇の時代』という書名は、ファンタジーやホラーという呼び方が普及している現在、いかにも大時代的に思われるでしょうが、まさにその「幻想」と「怪奇」、あるいは「異端」といわれていた時代の回想記なのです。友人の故大伴昌司と同人誌「ザ・ホラー」を創刊した際にも、読者の一人から「ホラ話ですか」といわれたほど、超マイナーな主題でした。
こうした思い出話は若い読者には退屈と考え、とくに活字にしたことはなかったのですが、二〇〇五年徳島県の北島町立図書館創世ホールで講演を行ったところ、意外に多くの来会者に恵まれ、松籟社から単行本化を依頼されました。このジャンルを開かれたものにしたいとう青春時代の意気込みを思いだし、一気に書き上げましたが、元来が推理小説畑なので、ミステリとの対比や関連性を重視して執筆したことが、受賞につながったと思います。
- 作家略歴
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1935.4.16~
神奈川県出身
主な著書
『幻書辞典』一九八二、三一書房
『鹿の幻影』一九八九、東京創元社
『魔術的な急斜面』一九九一、東京創元社
『古本屋探偵の事件簿』一九九一、創元推理文庫
『第三閲覧室の殺意』一九九九、新潮社
2008年『幻想と怪奇の時代』にて第61回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。
2008年 第61回 日本推理作家協会賞
評論その他の部門受賞作
ほししんいち せんいちわをつくったひと
星新一 一〇〇一話をつくった人
受賞者:最相葉月(さいしょうはづき)
受賞の言葉
執筆当時、次作は星新一の評伝だと告げて、それはおもしろそうだといってくれる作家や編集者は私のまわりにほとんどいなかった。子供のころ誰もが読んだ作家であるはずなのに、そんな恩恵など忘れてしまっていたのだろう。だからなおさら、刊行後にこれだけの評価をいただけたことは望外の喜びであり、五年以上の孤独な取材・執筆期間を支えてくださったご遺族をはじめ取材協力者と担当編集者には心から御礼を申し上げたいと思う。
江戸川乱歩が創設した本賞は、その歴史的な意義はもちろんのこと、予選段階から現役の作家が選考するとあって、玄人好みの名誉ある賞だとうかがっている。これまでまったくご縁のなかった世界だが、改めて星新一の読者層の広さに驚くと同時に、もはや、自分がいただいたのか、星新一が受賞したのか、わからなくなっていることを告白しておこう。
すでに新たな取材の旅に出ているが、受賞は大きな励みとなった。ありがとうございました。
選考
以下の選評では、候補となった作品の趣向を明かしている場合があります。
ご了承おきの上、ご覧下さい。
選考経過
- 垣根涼介[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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第六十一回日本推理作家協会賞の選考は、二〇〇七年一月一日より同年十一月三十日までに刊行された長編と連作短編集、および評論書などと、小説誌をはじめとする各紙誌や書籍にて発表された短編小説を対象に、昨年十二月よりそれぞれ予選を開始した。
昨期の短編部門に続き、今期から長編および連作短編部門でも、各出版社からの候補作推薦制度を適用した。なお推薦枠を持たない出版社からの作品については、従来通り予選委員の推薦によって選考の対象とした。
長編および連作短編部門では出版者推薦と予選委員の推薦による二一〇作品、短編部門では出版者推薦と予選委員の推薦による五八四作品、評論その他三十一作品をリストアップし、協会が委嘱した部門別の予選委員がこれらの選考にあたり、各部門の候補作を決定した。
本選考会は五月十六日午後三時より、第一ホテル東京にて開催された。長編および連作短編部門は逢坂剛、小鷹信光、真保裕一、菅浩江、福井晴敏(立合理事・北村薫)、短編部門・評論その他の部門は有栖川有栖、北森鴻、野崎六助、馳星周、山田正紀(立合理事・垣根涼介)の全選考委員が出席して、各部門ごとに選考が行われた。
選考経過は以下の通り。受賞作決定後、今野敏氏、長岡弘樹氏、最相葉月氏を迎えて、記者会見が行われた。
〔長編および連作短編集部門〕
北村 薫
まず投票を行った結果、上位二作と下位三作にはっきりと分かれた。
最初に下位となったものの中から次の段階に残すべきものがあるかの討議に入った。『人形の部屋』『密室キングダム』については、それぞれ独自のものはあるが、また短所も多すぎるとして落ち、続いて『首無の如き祟るもの』も、最後の解決部分の快感はあるものの、作品総体としては賞に届かないという判断になった。
次に『サクリファイス』のことも論じつつ、最高点であった『果断 隠蔽捜査2』について検討した。プロの作家がプロの作家に与える賞として、技術を評価したいという声があり、協会賞はそれまでの作品も判断材料としてよいということから、前作『隠蔽捜査』並びにこれまでの業績も加味し受賞作と決定した。『サクリファイス』については、小説としては魅力的だが、ミステリとしての問題点があるとして、二作受賞とはならなかった。
〔短編部門〕
〔評論その他の部門〕
垣根涼介
選考会はまず短編部門から始まり、五つの候補作すべてについて各選考委員が三段階で評価を行った。その結果、『傍聞き』が最高得点の13点を獲得し、他の四作品はすべて7点で横並びとなった。この時点で『傍聞き』の優位はまず動かないものとなったが、選考委員の一人に『退出ゲーム』を強く推す声があり、再びこの二作品で審議となった。が、結局はすべての選考委員が高得点をつけた『傍聞き』の完成度を推す声が再度強まり、結果、この作品が最終的に受賞作となった。
続いて評論その他の部門の選考に移った。これも短編部門と同様、各選考委員が三段階で評価を行った。候補作は四作品。その結果、『幻想と怪奇の時代』が12点、『星新一 一〇〇一話をつくった人』が13点と、二つ飛びぬけ、この両者の競い合いとなった。途中、『星新一 一〇〇一話をつくった人』は既に複数の賞を受賞しているという話題も出たが、それはこの本の本質には関係ないということもあり、結果、同時受賞ということになった。
なお、選考後の記者会見には、『傍聞き』の長岡弘樹氏、『星新一 一〇〇一話をつくった人』の最相葉月氏が出席し、また『幻想と怪奇の時代』の紀田順一郎氏もファックス文面にて、受賞の喜びを語った。閉じる
選評
- 有栖川有栖[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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短編部門では、最初から「傍聞き」に高評価が集まり、すんなり受賞作に決定した。真相に至るキーワードを堂々と題名に掲げながら、なお読み手を欺く腕前に感服した。私自身、眉に唾して読んだのだが、まんまといっぱい食わされた。きれいな投げ技である。推理小説ならではの面白さを持ちつつ、家庭小説としての味わいも好ましく、読者を選ばない作品だろう。
その他の候補作についても触れる。プロファイリングを扱った「点と円」は、前半の推理については楽しめたのだが、最も肝心の点(主人公が犯人の正体を突き止める箇所)に納得がいかなかった。さながら、作者が主人公に答えを耳打ちしたかのような論理の飛躍がある。あそこが推理小説の華なのに、と惜しまれた。
「人事マン」で描かれた犯行の動機は充分にリアルで、身につまされる。最後のまとめ方もよかったが、「そういうことか」と真相が割れてから後が長すぎはしまいか。構成に疑問を感じた。
「堂場警部補とこぼれたミルク」は、シリーズものとして短編集で読めば面白さが増しただろう。それはさておき、恐喝者の行動が不自然で、物語のフレームに無理がある。読者を「騙すために騙す」という仕掛けも、あまり効果的とは思えなかった。
「退出ゲーム」は、設定のユニークさのせいもあり、論議の的になった。論理遊戯的な展開に引き込まれたのだが、ルールのゆるさと最後のロジックが決定打となっていない点が残念だった。このタイプの小説を成功させるのは難易度が高いので、作者のチャレンジングな姿勢は買いたい。
評論その他の部門では、『星新一 一〇〇一話をつくった人』が満座の票を獲得した。すでに他の賞をいくつも受けていることも、本賞受賞を妨げるものではないと判断し、授賞が決まった。行き届いた取材で星新一の全貌に迫るもので、面白さも資料的価値も申し分がない。私が読み取れなかったのは、どういうエモーションが筆者にこの本を書かせたのか、という点だけである。
『幻想と怪奇の時代』は、本としてまとまりを欠く部分もあるが、筆者の堅固な美意識に貫かれているため気にならなかった。作家の核心に迫るフレーズにあふれ、随所で興奮した。指差してもらえれば充分。あとは読み手が掘り進めばよい。記録性にも優れ、独特の発展を遂げたわが国の怪奇幻想小説と推理小説の姿がよく理解できる。座右の書としたい。
『名探偵たちのユートピア』と『清張 闘う作家』も、受賞作たり得る著作に思えたほど、今年の評論その他の部門候補作はどれも読み応えがあった。選考会が始まる直前まで迷い、悩んだ。試練が去って、今はほっとしている。閉じる
- 北森鴻[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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短編部門の長岡弘樹さん、評論その他の部門の紀田順一郎さん、最相葉月さんおめでとうございます。これからのご活躍を楽しみにしています。
さて短編部門ですが、長岡さんの授賞は早々に決定いたしました。というのも他の作品に比べて頭ひとつ分もふたつ分も抜きん出た作品だったからです。最後の最後まで、「傍聞き」というタイトルが生かされていた点についても、この作品しかないだろうと思って選考に臨みましたが、果たしてそのとおりになったことに選考委員として満足しております。他にもう一作、という意見もあったのですが、ミステリーとして平凡すぎる、逆に作りこみすぎてリアリティーがないなどといった意見が多数を占め、二作授賞には至りませんでした。ミステリーとは「騙す業の冴え」ともいえるでしょう。けれどどうせ騙すならきれいに騙して欲しい。読者を唖然とさせ、なおかつ読後に「やられた!」と喝采させて欲しい。その部分に欠けたことが、他の作品すべてにいえる欠点でしょうか。
評論その他の部分についても、今回はすんなりと授賞作が決定いたしました。ことに最相さんの作品のリーダビリティには、他の追従を許さぬ迫力のようなものさえ感じられました。星新一というSF界の巨人の評伝であると同時に、その周辺の時代そのものを見事に描ききった作品で、授賞は当然といえるでしょう。まあ「他にもいくつも賞を取っているからもういいでしょう」という罰当たりな意見もあるにはあったのですが。ああ、そういえば、せっかくだからうちの協会も尻馬に乗りましょうよと言う意見もありましたっけ。わたしですが。ほんの冗句です。ごめんなさい。
紀田さんの作品ですが、正直いってわたしには言葉がありません。あまりに恐れ多すぎて……。そもそもわたしのごとき若輩が授賞をどうのこうのいえる立場にないとだけ、申し上げておくしかありません。もちろんその面白さについて、なんら不満を述べるところもないことは確かです。
他の二点の作品ですが、それぞれに推すべき部分は確かにあったと思います。けれどどうしても授賞作品に比べると、見劣りがしてなりませんでした。個人的には石上さんの作品を面白いとは思ったのですが、積極的に推すには至りませんでした。
さて四年にわたる選考委員の任期も今回で終了、お役ごめんとなります。
ああ、ようやく肩の荷が下りた!閉じる
- 野崎六助[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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全体として、目立った議論の応酬はなく、どちらの部門もすんなり決定した。
短編では、「傍聞き」が高得点で抜きん出た。警察小説という枠組のなか、日常的犯罪の意外な犯人、犯罪者の心性、ヒロイン刑事の家庭問題などの要素を立体交叉させ、タイトルを生かした結末に運び、しかもそこに<救い>を読ませることに成功している。
他は、可能性を認めるという意見で「退出ゲーム」を(わたしは)強く推したが、賛同を得るには到らなかった。ゲームモードは評価しうるが、その奥にあるモチーフがどれだけ作者にとって切実であるのか受け取りにくかった。他の三作については、ミステリとしての仕掛けが早々と割れてしまうところが辛かった。「堂場警部補とこぼれたミルク」は最後の一行のみが良いのだが、これを生かす本体に不足していた。「人事マン」は強引に押しこんだ殺人の設定によって、せっかくの<イイ話>を壊してしまった。「点と円」は連作の一つであり、これだけ独立して評価されるのは酷なようだが、この作家にも短い作品が書ける(失礼!)ことを示してくれた。
評論では、やはりというか、『星新一 一〇〇一話をつくった人』に支持が集中した。多大の労苦と時間をかけた評伝ノンフィクション大作であるので、質量とも他の候補作を圧倒してしまうのは当然だった。各委員が感じた居心地の悪さは、およそ二点あったと思える。一点は、みなが思わず口にしたことだが、すでに各種の賞を制覇している作品に協会賞として屋上屋を架すのは如何なものか(?)というため息。もう一点は、それほど明瞭に言葉になったわけではないが、この作品が発信しているいわゆる<作家の悲劇>というニュージャーナリズム風物語への違和感。これは、どの委員も星新一へのリスペクトを多かれ少なかれ抱いていることからくる反撥だったともいえる。ミステリ作家はこの作家評伝を<他人事>としては読めなかったのだ。その意味では、本賞の選考は、他のどの賞選考よりも濃密だったと自負できるかもしれない。
『幻想と怪奇の時代』は、書き下ろしの回想記の部分、その若々しさと躍動感に打たれた。著者はここで今さら紹介するまでもなく、多方面での業績があり、古書ミステリの創作においても独自の地歩を築いている。著者の怪奇ホラーへの傾倒を多趣味のうちの一項目くらいに受け取っていたが、この不見識は本書によって正された。あるジャンルが先覚者によって移入され、市民権を得ていくまでの苦難の歴史。それを、個人史とからめ、時代の変遷を遠景において活写すること。ここに紀田氏の本領があったと感得した。
『名探偵たちのユートピア』は、古典ミステリの再読から再評価を目論んだ評論。残念ながら、著者の語り口の美点が充分には発揮されずに終わった。『清張 闘う作家』は、先行する清張評論の成果をもっと具体的にふまえるべきだろう。批判するにしろ黙殺するにしろ。でなければ、闘う論者の一人相撲を脱しえない。閉じる
- 馳星周[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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短編賞は受賞作なしでも仕方がないという思いを胸に抱き、選考会に挑んだ。
一番面白く読んだ『人事マン』はしかし、最後で失速してしまった。他の作品はどれも一長一短。いや、短所ばかり目につく。
他の選考委員も概ね似たような意見だったが、わたしと違ったのは、できれば受賞作を出したいという思いだった。
ならば作品は自ずとひとつに絞られる。
突出した輝きはない、が、瑕瑾がなく、よくまとまっている。総じて得票数も多かった『傍聞き』だ。
わたし以外の選考委員たちがこの作品を受賞作にと口を揃えた時、わたしには反対する気持ちも理由もなかった。
非常に短い選考時間で決まった。賞に対する改革で、予選にあがってくる作品の選出方法が変わったわけだが、今回の候補作を読む限り、果たしてこの改革が正しい方向に進んでいるのかどうか、疑問が残った。選考委員としては失望が大きかったと記しておく。
評論部門では早くから受賞候補が二作に絞られた。
『清張 闘う作家』は自分だけが松本清張作品の正当な評論者なのだというスタンスが鼻につく。引用も自著からのものがほとんどで、評論としては大きな広がりを持っていない。
『名探偵たちのユートピア』については、筆者の本道の仕事ではないという意見が多かった。
『幻想と怪奇の時代』については、幻想怪奇文学に疎いわたしには少々読みづらい点もあり、また、一冊の本としての体裁を整えるために寄せ集め的にまとめてしまったという感もあるのだが、歴史的価値と、このジャンルを世に広めるために奮闘してきた紀田順一郎氏の功績を考えれば、受賞は当然だと思う。
『星新一 一〇〇一話をつくった人』は、読み物として圧倒的に優れている。星新一を知る人も知らない人も、このリーダビリティの前では等しく屈服するだろう。
わたし個人として、日本SFにのめり込んだ少年時代を思い出し、あの時代の熱気、尊敬していたSF作家たちの足取りを思い起こしながら選考委員ではなく、一読者としてこの作品を堪能した。学生時代にお世話になった故矢野徹氏の名前が登場するくだりでは、背筋に走る震えを止めることができなかった。
読み物としては圧倒的に優れている。しかし、それ故、この作品はすでに多くの賞を受賞してきた。今さら、推理作家協会賞を与えることに意味があるのか。議論はそれに尽き、そしてすぐに収束した。
良いものは良い。それだけのことである。閉じる
- 山田正紀[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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短編部門
短編の候補作は五編いずれも水準が高かったように思う。バラエティにも富んでいて、推理小説短編の豊潤な可能性を示唆されたように感じた。
ただ、それぞれ選考委員の点数を総計したところ、「傍聞き」がダブル・スコアに近い点数を獲得した。その結果、ほとんど何の異論もなしに「傍聞き」が受賞作に決まった。
私は不勉強で「傍聞き」という言葉を知らなかったのだが、人の話をそばで聞くとはなしに聞くことを「傍聞き」と呼ぶらしい。
この作品では「傍聞き」が前後三度出てくるのだが、そのバリエーションの見事さ、鮮やかな手際は、ほとんど名人芸といっていいほどに思う。繊細だし、なにより温かい。警察小説としても家庭小説としても人情小説としても抜群の出来ばえを見せている。
ここ何年間、私が読んだなかで、優にベストと呼んでもいい作品で、あらためて短編小説のすばらしさを教えられた気がした。
作者には最大級の敬意を表したい。
「傍聞き」の受賞はすんなり決まったのだが、つづいて選考委員の間で、これを単独受賞とするか、それとも「退出ゲーム」との同時受賞とするかが論じられた。
「退出ゲーム」の軽妙さ、その仕掛けを高く評価する声があり、そのために同時受賞の可能性が論じられたのだが、それも「一三対七」という点差を突破するまでにはいたらなかった。
私自身も「傍聞き」の単独受賞が妥当だろうという印象を持っている。
評論部門
ある選考委員から今回の評論部門ではどの作が受賞しても異論はないという発言があった。
それほど今回の候補作はそれぞれ粒がそろっていたし、なにより読んでいて楽しく、考えさせられることが多かった。
とりわけ最相葉月氏の「星新一 一〇〇一話をつくった人」は頭一つ他の作を超えている感があり、受賞を推す声が圧倒的に多かった。
ただ問題があるとすれば、「星新一」があまりにも多く他の賞を獲得していることで、「推理作家協会賞が他賞の後塵を拝していいのか」、という発言もあるにはあったが、結局は作品のすばらしさがそうした声を封じることになった。
「幻想と怪奇の時代」は日本の文学史を語るうえでも貴重な作品であり、受賞に値する労作だと思う。個人的には大伴昌司、荒俣宏のお二人の活躍が興味ぶかかった。閉じる
立会理事
選考委員
予選委員
候補作
- [ 候補 ]第61回 日本推理作家協会賞 評論その他の部門
- 『名探偵たちのユートピア』 石上三登志
- [ 候補 ]第61回 日本推理作家協会賞 評論その他の部門
- 『清張 闘う作家』 藤井淑禎