2014年 第60回 江戸川乱歩賞
受賞の言葉
第五二回から毎年江戸川乱歩賞に応募をし続け、第六〇回という、乱歩賞の還暦で賞をいただきました。九年間で五度最終候補になった末の受賞です。
何度も続く落選に落ち込むこともありましたが、常に自分の苦手な部分、弱い部分を向上させようという明確な目標を持って一作一作書き続けてきたことが今作の受賞に繋がったのだと思います。
今となって思えば、全て自分の成長のために必要な落選でした。力が不十分なうちに間違って受賞していたら、今の自分はありませんでした。僕の未熟さを見抜き、「もっと成長して戻ってこい」とストップをかけてくださった選考委員の先生方には感謝しています。そして、僕に期待し、受賞を心待ちにしてくださっていた編集部の方々の力強いお言葉からは、勇気と自信をいただきました。
悩んでいるときに支えてくれた家族、親戚、友人、知人に恩返しがしたい思いでいっぱいです。思えば、悲観的な言葉を口にするのはいつも僕でした。周りの誰一人、同調しませんでした。誰もが江戸川乱歩賞という偉大な賞での最終候補に興奮し、落ちても落ちても応援し続けてくれました。僕は人に恵まれていたのだと思います。
何はともあれ、ようやくスタート地点に立てました。僕はまだ何も成し遂げてはいません。いっそう気を引き締め、読者の皆さんに楽しんでもらえる物語を書き続けたいと思います。
- 作家略歴
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1981.7.9~
略歴
1999年京都府立向陽高校II類理数系自主退学
同年・大学入学資格検定(大検)合格
2006年より江戸川乱歩賞に毎年応募し、第53回、第54回、第57回、第58回の最終候補に残る
2014年に9回目の応募となる『闇に香る嘘(「無縁の常闇に嘘は香る」を改題)』で
第60回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー
代表作
第60回江戸川乱歩賞受賞作『闇に香る嘘(講談社)』
趣味
小説を書くこと、読書、ドラマ・映画鑑賞、サッカー観戦
特技
剣道二段
選考
以下の選評では、候補となった作品の趣向を明かしている場合があります。
ご了承おきの上、ご覧下さい。
選考経過
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本年度江戸川乱歩賞は、一月末の締切までに応募総数三四九編が集まり、予選委員(石井千湖、円堂都司昭、香山二三郎、末國善己、杉江松恋、細谷正充、吉野仁の七氏)により最終的に下記の候補作五編が選出された。
〈候補作〉
極星クラブ 檎 克比朗
ダンテの教え 新木利之
国会の迷宮 木山穣二
無縁の常闇に嘘は香る 下村敦史
変節の森 牧本圭太
この五編を五月十二日(月)午後三時より帝国ホテルにおいて、選考委員の有栖川有栖、石田衣良、京極夏彦、桐野夏生、今野敏の五氏による協議の結果、下村敦史氏の「無縁の常闇に嘘は香る」を本年度の江戸川乱歩賞と決定した。授賞式は九月五日(金)午後六時より帝国ホテルにて行われる。
なお、下村敦史氏の作品は応募時のタイトルは「無縁の常闇に嘘は香る」であったが、受賞決定後に「闇に香る嘘」に変更された。閉じる
選評
- 有栖川有栖[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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他の賞の選考に携わったこれまでの経験からすると、受賞する作品というのは三分の一も読めば「これに決まるだろうな」と思わせてくれるものだ。後半に失速したり着地が乱れたりして、「おや、困ったぞ」と悩むこともたまにはあるにせよ。
『無縁の常闇に嘘は香る』の場合、三分の一までに「これはイケそう」と半ば確信し、その予想は裏切られることがなかった。それどころか終盤になって物語はいよいよ盛り上がり、意外な真相が明かされた後に「あれはそういうことだったのか」という主人公の〈気づき〉(多くの伏線の回収)が次々に繰り出され、最後の最後までポイントを稼いだ。
中国残留孤児として帰国した〈兄〉は偽者ではないか、という疑惑を抱いた主人公が文字どおり手探りの孤独な捜査を始めるや、不穏な出来事が彼の身辺で続く。視覚障碍者を語り手にするという難しい設定を最大限に活かして、魅力的な謎やサスペンスを生むだけでなく、読み応えのあるドラマを描いている。結末はまさに盲点を突くもので心憎い。
いかにもミステリらしい面白さに富みながら(ミステリという文芸がなければ書かれなかった作品である)、ミステリファン以外の広範な読者にアピールする小説だろう。還暦を迎えた記念すべき年に、江戸川乱歩賞は素晴らしい受賞作を得た。ただ、タイトルだけ再考を望みたい。
作者の下村敦史さんは、最終候補に残ること五度目にして金的を射止めたのだとか。本当におめでとうございます。溜め込んできたエネルギーを放出し、これから大いに活躍されることを期待するとともに、乱歩賞チャレンジャーの方々は下村さんの快挙を励みと目標にしていただきますように。
他の候補作の中では、国会議事堂内で殺人が起きる『国会の迷宮』が楽しめたが、トリックの弱さ、作中世界の狭さ(登場人物に知り合いが多すぎる。みんな作中でよく動いてくれるのだが)、手記の安直な使い方などが惜しまれる。
『極星クラブ』は、さらりと触れられる過去のショッキングな事件を真正面から描くべきではなかったか。迫力たっぷりに書き切ったとしても、その大事件が現在の事件にあまりつながらないという構図の不具合は残るが。
『変節の森』は、タフな主人公をはじめとしてキャラクターの造形が表面的に感じた。もったいないことだ。結局、何がしたかったのだろう、という人物もいる。様々な要素を盛ったため、読者がどこに興味を絞ればいいのかがほやけ気味。
民間企業の宇宙船や外国の巨大企業が絡む『ダンテの教え』は、スケールが大きいわりに幕切れが肩すかし。また、テンポよく場面が切り替わりすぎて、冒険のディテールが省かれているのでおいしい部分が抜けている。
いいミステリを書くのはとても難しい。だから、挑戦のしがいがある。閉じる
- 石田衣良[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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ミステリーが拡散し領地を拡大しているせいか、今回は幅広いジャンルの最終候補作となった。選評には現場の作家や編集者がどんな作品を求めているか、必ず書かれている。最終に残らなかった人も繰り返し読んでみてほしい。あっ、そういうことかという発見がきっとあるはずだ。
『国会の迷宮』衆院本会議開催中の議事堂内で殺人事件が起こる。アイディアは初見で素晴らしいが、残念ながらトリックが幼い。老人の手記でネタばらしをしてしまうのは、もったいなさすぎ。タコ部屋、国会内部等、調べたことをすべて書く悪い癖がある。次回はリアリティとトリックを研ぎ澄まし再挑戦してください。
『変節の森』昔懐かしい直球の冒険小説。元自衛官の主人公は今どきめずらしいマッチョで好印象だが、事件が起こるまでの前段が長すぎる。地方の選挙の内幕も致命的につまらない。感情の熱量をあげて、アクション一本に絞った快作が読みたい。この作者なら書けるはずだ。
『ダンテの教え』自殺した女性のスマートフォンに残された謎のデータと奪われた人工衛星。日系の宇宙飛行士が謎を追うという豪華な道具立てだ。残念だが、大人の読者をだまし切るほどの筆力がなかった。書き割り感が強い。最後に明かされる謎が、実はなんでもなかったというのは、長篇をつきあってくれた読み手に失礼ではないかな。
『極星クラブ』乱交と虐待が常態化していた新興宗教から抜けだした子どもたちの復讐譚。『半落ち』と『流星の絆』を足して二で割ったような造りだが、肝心の場面をすべて伏せすぎ。虐待や人肉食の場面はきちんと書き切らないと、二十年も続く復讐の動機が読者には見えてこない。このテーマを扱うのなら、腹をくくって突撃するべきだったのでは。小説にはテレビドラマと違って、自己規制の必要はない。新人は内角ぎりぎりを突いてもらいたい。
『無縁の常闇に嘘は香る』六十九歳の全盲の視覚障碍者。ベテラン作家なら決して手をださないくらい主人公の設定のハードルが高い。DNA検査を拒む中国残留孤児の兄が偽者ではないかと疑い、弟の調査が始まる。タイトルが意味不明だが、なによりも緻密な取材と全開の想像力で、困難な設定の主人公を造形した力量を買う。すべての疑いが反転して、自分の身に跳ね返ってくる終章には息をのむ迫力があった。下村敦史さん、受賞おめでとう。あなたの略歴を見て、選考委員はみな感心していた。今回は何度乱歩賞の最終ではじかれても、決して諦めなかったあなたの勝利だ。ソフト不況は出版界にもおよび新人作家冬の時代だが、この力量なら心配はいらない。最初の試合でホームランを放ったけれど、作家のゲームは死ぬまで続く。次回作を胸に抱えて、新作フルスイングしてください。つぎに攻めるのは下村さんの番だ。閉じる
- 京極夏彦[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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ジャンル小説という謂い方がある。ある属性を以て複数の小説をカテゴライズし、そのカテゴリに属するだろう小説のことをそう呼ぶようである。ただ、この分類は極めて恣意的なものであり、客観性は乏しいと言わざるを得ない。
ファンタジー、SF、時代小説、歴史小説、青春小説と、一見確固としたジャンルを形成しているかのように思えるカテゴリは多いのだが、実はそうでもない。
たとえ過去を舞台としているからといって、それをして時代小説と規定してしまうことはできないだろう。SF的ガジェットを使用している場合もあれば、恋愛を主軸とした物語であるケースもある。各々一応の定義はあるのだが、それは十全なものではない。
もちろんジャンルそのものを否定するわけではない。ただそれは読者が勝手に決めるもの(決めて良いもの)であり、また商業的事情によって便宜的に冠せられる惹句のようなものでしかないということを忘れてはいけないだろう。
まずジャンルありきで小説が書かれるわけではない。多様な小説がゆるやかにジャンルを形成しているに過ぎないのである。
ミステリもまた、ジャンルとして捉え得るし、またそう捉えられてもいるだろう。
だが、以前の選評でも書いた通り、広義のミステリが指し示す小説の裾野は限りなく広い。犯罪小説や謎解き小説という理解で現在のミステリ(と呼ばれる小説群)を総括することは、ほぼ不可能だろう。最早ミステリは、ジャンルとしては失効している感がある。
尤も、黎明期からこの「ジャンル」は、本格/変格、本格/社会派、本格/ハードボイルドなどなど、対立項(レヴェルが異なっているため本来対立し得ない概念であったりもするのだが)を設ける形で「ジャンル」としてのアイデンティティーを確認するような作業を繰り返してきたという歴史を持っている。
いずれも議論としては興味深いものであるが、本質的な小説の在り方に関わるような知見を示すものではない。
そもそもハードボイルドや冒険小説が世の中を席巻していた時代などはないし、社会派推理小説に至っては、何をしてそう呼ぶのか定まってさえいないのである。
それでも、社会に対する問題意識のようなものを読者の中に強く喚起する娯楽作品というのは厳然として存在する(但しそれが作者の問題意識の顕われなのかどうかは、読者には判断できないのであるが)。だからこそ社会派推理小説などという「ジャンル」が生まれたことは疑いようがない。
ただ、作中で社会問題を扱ってさえいれば社会派だという話ではない。社会に対する批判なり問題提起なりをするために、対象となる社会問題そのものを取り上げる必要もない。ノンフィクションではないのだから、むしろその方が好ましいとも言えるだろう。
肝心なのは何を書いたかではなく、どう読まれるか(何を読み取って貰えるか)なのである。
繰り返すが、ジャンルがあって小説が書かれるわけではない。
時事ネタと謂われる題材を選択することは大いに結構である。タイムリーであろうとする姿勢は大事だろう。そのために、丹念に調べ、学ぶのも良いことである。その結果面白い小説が書けるのであれば、それはそれで申し分のないことではあるだろう。
だからといってそれが社会派小説として読者に受け取られるとは限らない。まして、それに殺人事件を織り交ぜれば社会派推理小説になるなどと考えるのは、やはり浅慮と言わざるを得ない。
少なくともそこを目指すなら事件と題材は乖離しているべきではない。
受賞作はたった一つのアイデアで組み上げられた作品である。しかしそのアイデアなしには決して書き得ない世界を意欲的に描いている。物語もキャラクターも、表現や展開も、些細なディテールまでもがその一つのアイデアによって支えられており、またそのすべてが伏線となっている。しかもそれらは見事に回収される。
たった一行のくだりで殆どの謎や違和感は解消してしまう。陳腐な言い方ではあるが、そこで世界も反転する。作者の入念な手つきは堂に入っており、その部分だけを取り上げるなら、いわゆる本格ミステリとして評価される作品でもあるだろう。
しかし、必ずしも読者の共感を得やすいタイプとは思えない主人公の、さらにやや屈折した心理の動きに読者を同調させようという難儀な試みは、その評価だけにとどまるものではない。作中で取り上げられる社会事象も単なるガジェットではなく、必然性を持って選ばれ、アイデアを作品化するために貢献している。加えて主人公というフィルターを通すことである種の批判性まで獲得している。
今後も同様のスタイルで書き続けるのは難しいかもしれない。ただ、候補作の中で図抜けていたことは間違いないと考える。
自らが新しいジャンルを作り出すなり、ミステリという失効しかけたカテゴリの再構築を目論むなり、新人賞に応募するのであればそのくらいの気概があっても良いと思う。パッチワーク的な組み合わせや小手先のアレンジからは魅力ある作品は生まれにくい。既存の枠組みをなぞることに、大きな意味はないのである。閉じる
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『国会の迷宮』
国会の内部がどうなっていて、議員はそこで何をしているのか。無知である我々にとって詳細な情報は面白いのだが、建物の構造を使ったこのトリックは、さすがに弱いのではないだろうか。影井の逸話をもっと詳しく読みたかっただけに、他の登場人物たちが本当に必要かどうか、一考されたい。
『変節の森』
ドタバタしつつも、あっという間に読めてしまうのは、台詞の応酬がうまく、疾走感があるからだろう。主人公のキャラも憎めないし、産廃業者の脱線ぶりはおかしみがある。だが、町の開発事業と選挙の話は、すでに手垢が付いている感がある。新味をどうやって出すのかと心配していたら、結末のあっけなさに驚いた。最初に失踪した少年の話が消えてしまうのが気になる。
『無縁の常闇に嘘は香る』
主人公が盲目であることから生じる疑念や誤解がよく描けている。ディテールもよく調べられているので、途中で失明した人はこんな恐怖があるのか、と初めて知ることになり、読者がすんなりと主人公の恐怖に同化できるところはうまい。
が、個人的には頷けない箇所もある。見えないために生ずる主人公の疑念を、疑われている当人が横でスルーしている場面である。瑕疵と言うほどではないが、物語を成立させるための苦しい展開になってはいないか。
冒頭の密入国シーン、中国残留孤児の実態、点字による俳句、など盛り沢山という声もあったが、ツーマッチがこの作者の身上なのだから、削る必要はない。タイトルは、本作品のコンセプトを語り過ぎている。
『極星クラブ』
これだけの大事件ならば、後世まで語り継がれるだろうし、消えてしまった大人たちの捜索も徹底的に行われるだろうし、生き残った子供たちは永遠にマスコミに追われることになるだろう。しかし、本作品は無人島で何が起きたのか、その後、子供たちはどんな扱いを受けて、誰が育てて、どんな人間になったのか等々、容易に想起される疑問に答えるだけのことを描いていない。物語の原点となった人間の負の感情は、どこかで必ず書かなければならない。
『ダンテの教え』
話が複雑だ。掃除屋は小さな話で、ノナカの話は大きい。掃除屋は時折丹念に描かれていて、ノナカの話はやや大雑把なところもある。ふたつがうまく交錯すればよかったのだが、登場人物が多くて整理しきれていない。とりわけ、掃除屋の女性がどうして怜奈の自殺に関わっていこうとするのかが希薄だ。気になったのは、作品の中で、空間の「移動」がまったく感じられないことだ。もう少し描写力を付けて頂きたい。閉じる
- 今野敏[ 会員名簿 ]選考経過を見る
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個人的な感想を言わせてもらうと、今年はなかなかバラエティーに富んだ作品が集まり、楽しませてもらった。
『ダンテの教え』は、どうしてこういうタイトルにしたのか納得がいかない。設定は大仕掛けなのだが、実際の物語は実にちまちまとしている。さらに、二つの物語を無理やり一つの作品にしているという印象があった。
命を懸けた奪い合いが始まる、というまさに物語のコアとなるはずの人工衛星の中のデータが、実はなかった、とか、主人公が大物の手の内で躍らされていただけだったとか、とにかく肩すかしばかりだった。読み終えたときに、何のために五百枚も読まされたのかと、唖然としたくらいだ。
『極星クラブ』の印象は悪くなかった。多視点のよさも出ていたと思う。台詞もなかなかうまい。ただ、地の文で不正確な表現や、言葉の誤用が目立った。小説を書く以前に、正しい日本語を勉強する必要があるかもしれない。また、警察官を主要な登場人物にするからには、もっと警察機構のことを調べる必要があると思う。県警本部なのに、ずいぶんとスケールが小さく感じられる。昔なら問題にならなかったかもしれないが、警察小説がブームとなり読者の眼も肥えているので、注意する必要があると思う。章変わりのときに、誰の視点か書いていないのは故意なのかもしれないが、何の効果もなくただわかりづらいだけだ。
『国会の迷宮』は、実に読みやすく、好みは分かれるだろうが、軽妙な感覚に好印象を持った。国会議事堂の構造について、なかなか勉強になった。ただ、ミステリーとしては評価できない。登場人物の手記によって過去のすべての事情が語られるというのは、確かに読者に対してフェアではあるが、必要ないと思った。せっかく記者が何人も登場するのだから、彼らに謎を探らせればいいのではないか。また、最大のトリックと思われるものは、おそらくこの作品を読んだすべての読者が、すぐに気づくに違いない。さらに、登場人物たちが都合よくつながり過ぎるという印象があった。
『変節の森』は、私自身は楽しく読んだ。物語の展開も早いし、最後までぐいぐいと読ませてくれる。主人公は粗暴で軽薄。とても感情移入などできないと思って読んでいるうちに最後には共感している自分に気づいた。不思議な魅力がある。ただ、文章が雑で、言葉の誤用も目立つ。
『無縁の常闇に嘘は香る』は、とにかくタイトルを何とかしてほしかった。タイトルで内容を説明する必要はなし。だが、作品は秀逸。視覚障害者を主人公とすることで、完璧なミステリーを構築している。多くの布石があり、それをすべて拾っている。主人公に対する非難や脅迫といったマイナスの言葉が、謎が解けたとたんにすべて意味のあるものに変わるという構成は実に見事だった。閉じる
選考委員
予選委員
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- 『ダンテの教え』 新木利之
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- 『国会の迷宮』 木山穣二
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- 『変節の森』 牧本圭太